音の波紋を、雷へ第五章【イナズマイレブン】 (ページ32)

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◆ ページ32

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『何も、司令塔は指示を出すことだけが仕事じゃないんだよ。ストライカーみたいにシュートを決めたりするさ。

でもそうだなぁ…Aがそう言うんだったら、リベロになるのはどうかな？』

『リベロ？』

『そう、リベロ。イタリア語で自由と言ってね。他のスポーツにもこのポジションはあるけど、サッカーにおいてこのポジションは基本的に何をしてもいいんだ。

守りながら攻撃したり、司令塔したりね。Aにピッタリじゃないか？』

『リベロ…サッカー……』

『それに、A。お前には人に寄り添える誰よりも優しい心がある。それも、サッカーにおいて必要な事だと父さんは思うよ。』

『そうねぇ、Aちゃんの笑顔はとっても暖かいもの。きっと音楽でもサッカーでも、色んな人を笑顔にできるわ。』

父と祖母言葉に、Aは家族皆を見渡す。家族は暖かな笑みでこちらを見ていて、Aは拳を握りながら顔を上げた。

『うん、…、わたし、サッカーやる！！』

◆◆◆◆

Aはそれから、サッカーに没頭した。

ボールを蹴る度に、どうやって蹴ったら強いシュートが打てるか、どの角度で打ったら強い考えたり、テレビではサッカー選手達がどのような戦術をしてるのか注視したり。

元々音楽ばかりであまり運動してなかったAにはサッカーの練習はキツかったが、それ以上に楽しさがAの心に浮かんでいた。

…それを表すようにAの顔にも笑顔が浮かんでいた。

勿論、サッカーだけでは無い。
音楽にも没頭し、ピアノやヴァイオリンでコンクールを総なめした。
そしてその技術をサッカーと組み合わせるのが、何より楽しかった。

……そうして出来たのが、『神のタクト』だったのだ。

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