◇ 静かな拒絶 ページ4
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だが、当の本人は首の後ろに手を当てながらからりと笑った。
「あー、ごめんごめん！気合い入るあまりミスっちった〜……こう見えて私も緊張してんのかねぇ」
そうポリポリと頬をかくAに、一同は謎の緊張が溶ける。
そしてAに「無理すんな！」「Aも意外なミスするんだな〜」などと声を掛けながら練習に戻っていった。
Aも練習を再開しようとすると、すれ違い様に鬼道に止められた。
「今のは本当に
「…そうだよ？だって元チームメイトと戦うんだもん、私でも多少なりとも緊張する」
へらへらと笑うAを、ゴーグルの奥から鋭い目で見つめる鬼道。そして、少しの沈黙の間口を開いた。
「俺がお前を初めて見たのは、小学生の頃だった。」
「……？」
「小学校5年生の時に初めてお前という存在を知って…、それから、お前の試合はよく見ていた。
そして中学に上がる時、お前も当然風雅学園にいると思った。…俺が中学一年生になって半ば頃、影山に風雅学園へ連れていってもらった。
だが、――――――お前の姿は無かった。」
鬼道は「なあ、A」と言いながら視線を合わせる。
Aと同じ赤い目が、真っ直ぐと此方を射抜いていた。
「お前 ―――――
……Aが雷門に転入したのは、円堂が一年になった頃の半ば頃。
半ば頃になるまで、Aには絶対に風雅学園にいた期間があるはずなのだ。
それに加え、先程の部室での表情の変化。何も無いというはずがない。
「……―――――やだなぁ、豪炎寺もそうだけど
みんな心配しすぎ！ただ元チームメイトと会うのって緊張するだけだよ！」
そう言いながら、いつものように笑うA。
だが鬼道は自ずとわかってしまった。Aの目にある勘定が「拒絶」だという事。
その事に気付いた鬼道は、「そうか」とだけ返した。
そして、話し終え背を向け去っていくAを見る。
その背中に手を伸ばそうとして、…やめた。自分は、拒絶された身なのだから。…けど、
(俺は、そんなに頼りないか……？)
今の鬼道には、情けなくも歯噛みするしか無かった。
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作者名：ちきんたつた | 作成日時：2024年2月8日 3時
