◇ もしも、 ページ27
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何を言っても取り入れてくれる様子のない母親に、円堂達は歯噛みする。
…だが、鬼道と豪炎寺はある光景を思い出していた。
それでも円堂は、拳を握りながら一紗に向かって吠えた。
「 ――――― それでも、あいつはオレ達雷門イレブンの一員なんだよッ！ 」
一紗は、驚愕に目を見開いた。
…遥かに、立場が上の人間なのに。
逆らったら、どうなるかなんてわからないのに。
「彼奴は…Aは、俺がゴットハンドを完成させる前、言ったんです。
【信じてる】
って。その言葉で、オレは助けられたんだ…、！ほかの皆だってそうだ！ずっとずっとAに助けられてる…！
彼奴はオレ達を信じて導いてくれた。だから…だから！今度はオレ達が、彼奴を信じて導かなきゃならないんだ！！」
それを気にもせず、神童Aという一人の仲間と一緒にサッカーがしたいがために円堂は叫んだのだ。
( ―――――― あの時のチームメイトが、この子達だったなら … )
…一瞬、ほんの一瞬。
一紗は泣きそうに顔を歪めた。…それを見逃さなかったのは、鬼道と豪炎寺だ。
「、…言ったでしょう。あの子は …」
「 ―――――― 本当に、辞めさせる理由はそれだけなのですか？」
一紗の声を遮る鬼道の声に、一紗は目を見開く。
そして、その反応に掛かったとばかりに鬼道は更に口を開い
た。
「俺がAさんを…Aの事を初めて見たのは、小学生の頃です。そして奴に憧れて…、中学も、当然風雅学園にいると思いました。
…風雅学園はエスカレーター式です。転校するなんてそうそうない。
けど彼奴は俺が中学一年の半ば頃、風雅学園に行ったら姿を消していました。
…質問があります。
――――― Aは、中学に上がってから雷門に転入する半ば頃まで何があったんで…」
「黙りなさいッ！！！！！」
切り裂くような怒号に円堂達は驚愕する。
だが、その中で豪炎寺は冷静に口を開いた。
「彼奴は昨日、こう言ってました。「自分は、俺たちが思っているより臆病で汚い人間だ」と…、これも、なにか関係があるんじゃないですか。」
豪炎寺の言葉に、信じられないと顔を悲痛に染める一紗。
円堂は、その一紗の目を真っ直ぐ見つめた。
「お願いします！！Aのこと、教えてください！！
オレ、彼奴の事何も知らないんです…だから、…だから！」
「…」
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作者名：ちきんたつた | 作成日時：2024年2月8日 3時
