◇ 母親 ページ25
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「Aの、母ちゃん…」
呆然としたような表情で見ている円堂に、鬼道が本人には聞こえないような声音で円堂に話す。
「Aの母親…、つまり、神童財閥トップ…Aの父親の奥方様だ。そしてあの方は、数々の会社の代表取締役をしている方でもある。」
鬼道は財閥の跡取りとして、対面したことは無いが神童一紗の事を知っていた。
異次元の話に円堂が尚も困惑していると、Aと同じ赤い目が円堂達を見据える。
「…貴方達は、最近よく此処に来ている雷門の生徒さんね。」
柔らかい雰囲気だが、自然と話を聞いてしまうような、そのカリスマ性。やはり似ている、と鬼道は思う。
「それで、一体今日は何をしに来たのかしら。Aは今日、ここにいないけれど ――― 」
「Aをサッカー部に戻るように説得しに来ました！！！」
響く円堂の声。馬鹿正直に答える円堂に、顔を引き攣らせ冷や汗を流す他4人(＋結城)
言った相手はAにサッカー部を辞めるよう言った本人、ましてや神童財閥の奥方なのだ。焦らないわけが無い。
一方、一紗は柔らかな雰囲気を纏っていたものの【サッカー部】、【説得】という言葉を聞いて目を鋭くした。
「…、結城、この子達を中へ案内なさい。」
「…畏まりました。」
門前払いを食らうかと思った鬼道たちは拍子抜けする。そして、各々緊張した面持ちで入っていくのだった。
◆◆◆◆◆
【 神童邸・リビング 】
豪華な装飾が施されたリビング。そこに通された円堂達は結城に促されるまま豪華なソファへ腰を落とした。
紅茶の入れたカップが机に置かれる音が、静かに響く。
そして円堂達に対面するように座っていた一紗が口を開いた。
「さて、まずは自己紹介ね。私は神童一紗。あの子の…Aの母親よ。…貴方達の事はよく知っているわ。あの子から聞いていたしね。」
此方を見定められる様な目に、鬼道は内心息を飲む。帝国学園として雷門イレブンのAと対面した時にそっくりだからだ。
だが、今の母親の冷たいような雰囲気は、どこか嘘のように見えるのは気の所為だろうか。
「オレは雷門中サッカー部円堂守です！！」
張り詰めた空気を切り裂くような円堂の自己紹介の後、他5人も自己紹介をする。
そしてその自己紹介を聞いた後、一紗は目を細めた。
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作者名：ちきんたつた | 作成日時：2024年2月8日 3時
