音の波紋を、雷へ第五章【イナズマイレブン】 (ページ21)

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◇ 知らなかったページ21

【豪炎寺修也side. 】

俺達はあの後、少し暗い夜道の中帰路に着いていた。
だが、並んで歩く皆の顔は暗い。かく言う俺も、だろうが。

風丸が俯きながら口を開いた。

「A、泣いてたな…」

「…、ああ。」

「私は…ッ、!!!お前らが思ってるよりも、ずっと汚くて、臆病な人間なんだよ!!!!!」

あの時、俺達に言い聞かせる様に叫んだ彼女は赤い目に涙を滲ませていた。
…その姿は、凄く苦しそうで。

円堂が、悲しそうに呟く。

「Aが泣いてるとこなんて、初めて見た…」

「うん…、いつも笑ってる子だったから、見たこともなかったね。」

そう円堂に同意する一之瀬も、少し悲しそうだった。この中で一番早くAと知り合った円堂が言うくらい、彼奴は涙を見せたことがなかったのか。

そして円堂は足を止め声を震わせながら呟く。

「オレ達、Aの事なにも知らなかったのかな…」

…俺にとって、「神童A」という人物は''強い奴''という認識だった。

「さぁ〜て、皆…いつも通りに行こうよ。私が皆を導いてあげるからさ!」

「誰よりも知ってる、理解してるお前が……その気持ちを否定する様なマネすんなよ……!! お前に一番サッカーして欲しいのは誰だよ!!!」

いつも笑顔で、人に寄り添って、手を引いて、背中を押して、皆を導く。
俺も、その存在に救われた。

…けれど、俺は何も知らなかった。
いや、''知ろうとしなかった''の方が正しい。

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◇ 隣を走ってほしいから。→←◆ そのこころにふれないで。