音の波紋を、雷へ第五章【イナズマイレブン】 (ページ20)

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◆ そのこころにふれないで。ページ20

「ねぇさま、いたいの？」

いたくない、いたくない。苦しくなんてないよ拓人。
お姉ちゃんとっても強いもの。

「なぁ、なんでそんなに苦しそうなんだよ…、A。」

「俺達は頼りないかもしれない、…けど、頼ってくれ、A。」

やめて、そんなに苦しくて優しい顔で私を見ないで。

縋りついて、泣きそうになってしまう。
でも、それはいやだ。....振り払われた時が、なによりこわいから。

「人の事情に、首を突っ込んでこないで。」

「 ――― 突っ込むよ！！」

「…！」

「…Aは、ずっと笑顔で、オレ達を支えてくれてた。

.....『フォルテシモ』も『神のタクト』も、初めて見た時すっげーって、ワクワクしたんだ。
そんなサッカーをするAが、サッカーを諦めるなんて認めない！！

いや…、Aがサッカー諦めないって、信じてる！」

そして…円堂は、初めてあった時と同じ、強い光を持った目で言うのだ。

「なぁ、A…、頼ってくれよ。オレ達、''仲間''だろ？」

その言葉に、ふつり、と何かが切れた気がした。

…そんな、呪いの言葉を吐かないでよ。

「 ━━━━━━━━━━━━━━ うる、さい …ッ！」

みんなの、驚いている顔が視界に入る。けれど、その輪郭がよく分からない。

「わたしは、…、ッ」

ちがうんだよ、円堂。
わたしは、お前にそんなことを言われるような人間じゃない。

「私は…ッ、！！！お前らが思ってるよりも、ッ

━━━━━━━━━━━━━━━ ずっと汚くて、臆病な人間なんだよ！！！！！」

これ以上、わたしの鎖を解こうと(壊そうと)しないで。

はぁ、と息を切らす。

そして数秒後、はっと意識を戻した。

ちがう、…ちがう、こんなこと、言いたかったわけじゃない。

吐き出した感情に、身体の震えが収まらない私は衝動のままに家の中へ走り込んだ。

…円堂たちが呼ぶ声を無視して。

―――――― バタンッ！

使用人達が呼ぶ声も無視して、ピアノの部屋に入りドアを閉める。
そして、ズルズルと扉を背に座り込んだ。

(…ちがうんだよ、円堂。)

わたしね、君達に思われてるような、綺麗な人間じゃない。

ずっとずっと隠して、大好きなものに嘘をつく、うそつきな、きたない人間なんだよ。

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