◇ 諦めが悪い ページ18
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【 神童Aside. 】
いつものピアノの部屋で、ピアノの前に置いてある椅子に座り窓の外を眺める。
ピアノなんて弾かずに、ただただ眺めるだけ。
.....響木さんに退部届けを出してから、学校には行けていない。いや、行っていないと言った方が正しい。
先生には転校の準備があるからなどと言っているが、私がただ単に雷門イレブンのみんなと顔を合わせたくないだけだ。
...まぁ、準決勝の時には必然的に顔を合わせてしまうのだけれど。
するとその時、門の前に誰かが立っているのが見えた。
だが、誰か見ようとする前にノックに遮れる。
――――― コンコン、
入っていいと許可を出すと顔を出したのは結城だった。
結城は私に一礼してから口を開く。
「お嬢様、昨日と同じご学友の方々が門の前に来ておられますが.....」
その報告に、また来たのかと内心毒づく。
.....一緒にサッカーをしていた頃はその諦めの悪さが心地よかったのにな。
そこまで考えて首を横に振る。...自分から手放しておいて、何言ってるんだ。
「どうしますか」と問いかけてくる結城に、声を返した。
「私が行くよ、玄関の前まで通して。」
結城が返事を返し門を開けるまでの間、今の薄着で行くのは
気が引けた為上着を羽織る。
ピアノの部屋を出て階段を下りている間、思考の海に浸っていた。
(私がサッカーを見捨てた様に、君達も早く私も見捨てればいいのに.....)
内心、どこか苛立ちを覚えている。
それは彼奴らの諦めの悪さのせいか、否か。
その思考を遮るように、結城から声がかかった。
「お嬢様、階段の前まで案内しております。」
「わかった。ありがとう。」
ふつふつと、腹の中からイライラする感情が沸き上がる。
.....どこまで、関わってくるつもりなんだ。
それを抑えるように目を閉じて、玄関の扉を空けた。
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作者名：ちきんたつた | 作成日時：2024年2月8日 3時
