◇ 冷たい表情 ページ15
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―――――― コンコン、
「A様、ご学友の方々がお尋ねです。」
「....いいよ、通して。」
執事の結城とAの会話が終わった後、円堂達は入るよう促される。
案内し終えた結城は「ごゆっくり」と言い去っていった。
其れを見届けたAは円堂達を見据える。
「何しに来たの？.....いや、君達に限って理由は一つか。」
「話をしに来たんだ！！
A、サッカー部を辞めるってどういう事だよ....！」
「それに、転校って.....」と言いながら、動揺する様に瞳を揺らす円堂。他の皆も何故、というような表情をしながらAを見ている。
「.....どういう事も何も、そのままの意味だよ。円堂。」
「A.....？」
いつもの、明るい声じゃない。仲間達を包んでくれるような、そして導いてくれるような、暖かい声じゃない。
何処か冷たくて、淡々とした声に円堂はAを見つめる。そしてその表情にはいつも皆を見守っている、優しい笑顔は微塵も浮かんでいなかった。
その変わりように気づかない程、円堂も馬鹿では無い。
「響木さんに聞いたでしょ？私はサッカーを辞める。」
その声音は、決意したような、それでいて何処か諦めたような声だった。
円堂は堪らず声を上げた。
「なんで、....なんでだよ！！いつも皆で一緒にサッカーやってきたじゃないかッ、だからフットボールフロンティアもここまで来たんだろ！？
それなのに、サッカー辞めるなんて.....」
「.....私は、腐っても神童財閥の娘。こうなることはいずれわかってたこと。
サッカーを辞めるのは、私の意思でもあるんだ。」
Aがそう言っても、円堂達は納得した様な顔をしない。特に豪炎寺と鬼道。
二人は医者の息子、財閥の御曹司であるが自分自身の意思でサッカーをしている為尚更Aの言った事に納得出来ないのだ。
「A、サッカー大好きなんだろ！？なのに.....」
「 ―――――それ、本気で思ってる？ 」
円堂達がはっとしてAに顔を向けると、Aは静かに此方を見ていた。
その目には、何処か冷たい感情が乗っている。
「私が心からサッカーが好きだって、本当に思ってるの？」
どういう事だ、と顔を困惑に染める円堂にAは顔を逸らした。
「今日は帰ってくれないかな。.....今は、君達と話したくない。」
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作者名：ちきんたつた | 作成日時：2024年2月8日 3時
