今日:73 hit、昨日:469 hit、合計:16,524 hit
小｜中｜大
「私....、皆に音を届けられなくなっちゃったんです。」
「私はもう、みんなと一緒にサッカーが出来ない。」
『さようなら。.....今まで、ありがとうございました。』
そう、静かに頭を下げたAは扉の方へ歩いていく。
そこを響木の声が引き止めた。
『 ――――― 待て。』
『……』
『俺はまだ''これ''を受理してない。つまりまだお前さんは退部してないってことだ。
辞めるにあたって、条件がある。……次の準決勝には必ず出ろ。
これは、最後の監督命令だ。』
『…、』
振り向いたAは、やがて諦めたようにため息を吐いた。
『分かりました。……どうせ、転校するのは準決勝の後ですしね。』
.
◇ 夜遅くの ページ12
.
――――― 時は、昨日の夜に遡る。
響木は雷雷軒で閉店作業をしていた。
その時突然、コンコンと扉を叩く音がして疑問に思いながらも開く。
そして、思いがけぬ客に目を見開いた。
『.....神童？』
『こんな遅くに、すみません監督。……大事なお話があって、来ました。』
いつもの陽気そうな、のらりくらり様子とは違う、何処か違和感のある表情に響木は内心疑問に思う。
だが妙に真剣な表情だったので、中へと案内した。
……後で響木は思う。その違和感について問い詰めておけばよかった、と。
『…それで？お前さんが話とは何の話だ？』
響木は真っ直ぐと神童を見据える。Aはすぐに終わる話だ
と言った為立ったままだ。
Aは少し目を伏せた後、上着の内ポケットの中から「それ」を取り出した。
そして、響木の目の前に差し出す。
響木が手に取り、それに目を向けるとそれは「退部届」と書かれた封筒だった。
響木は思わず目を見開く。
そんな響木を見たAは口を開いた。
『私、サッカー部辞めます。』
『お前さん…、これは、』
サングラスの奥の目で、何故と問いかける響木にAは見つめ返した。
響木は、ちゃんとした理由がなければ納得しないだろう。
『 ――――― 私、転校するんです。……今日、母と話して辞める様に言われました。
……でも、これは私の意思でもあります。
私は、音楽もサッカーも辞める。 』
『さようなら。.....今まで、ありがとうございました。』
そう、静かに頭を下げたAは扉の方へ歩いていく。
そこを響木の声が引き止めた。
『 ――――― 待て。』
『……』
『俺はまだ''これ''を受理してない。つまりまだお前さんは退部してないってことだ。
辞めるにあたって、条件がある。……次の準決勝には必ず出ろ。
これは、最後の監督命令だ。』
『…、』
振り向いたAは、やがて諦めたようにため息を吐いた。
『分かりました。……どうせ、転校するのは準決勝の後ですしね。』
.
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 179人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：ちきんたつた | 作成日時：2024年2月8日 3時
