◇ 勝ち ページ33
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(っ、やっぱり、凄いや…！)
(さすが、アメリカの天才プレイヤー…けど、甘いね！)
先程の鬼道の時のように、ヒールリフトで上げるか、と思えばそれさえも阻止される。まったく躱せない状況に、冷や汗を浮かべながらも笑顔を浮かべる一之瀬。
そしてほんの一瞬、ボールが地面に着いた時。
Aはニヤリと笑い右足でボールを掠め取りそのまま足で挟んで片手でバク転をした。
「なっ……、」
「はーい、私の勝ち。」
一瞬のアクロバティックな動きに、一之瀬は呆気に取られるもすぐに笑顔を浮かべる。
「さすがだね、神の指揮者さん」
「！私の事知ってたの？」
「うん、アメリカの知り合いに聞いたことがあってね…、光を操りながら司令塔を務めるゲームメーカーがいるって！
キミの昔の試合映像を見せてもらったんだけど、本当に凄かったよ！一目見た時か一緒にサッカーしたいって思ったんだ……戦えてよかった！」
「(！昔の試合映像…でも、この様子だと)……そっか、私も楽しかった。ありがとう〜」
差し出された手に、笑顔を浮かべながらAは手を重ねる。Aがフィールドの外に出ようとすると、今度は円堂が「よーし！今度は俺とPK対決だ！」とフィールドに走っていった。
Aはフィールドの外に出ると、ワイワイと騒いでいる円堂達を見ながら目を伏せる。
(大丈夫…、昔のやつは見られてない筈。だってあれは
いつもの軽快な様子とは異なり、重たい息を吐き出すA。
――― その様子を偶然目に入れた視線が、ふたつ。
一之瀬がボールを置く。
そして、円堂に向けて笑みを浮かべた。
「 ――― 行くよっ！」
「オウッ！」
そして、ノーマルシュートを打つ一之瀬。といってもそのボールにはカーブがかかり、ゴールギリギリ端の方へ入った。
その技術に壁山は関心したように声を上げる。
「すごいッス…！あんなギリギリに！」
「奴の実力は本物だ…」
「ボールを自由自在に、まるでマジックのように操る……正に、『フィールドの魔術師』だね。」
そして何度も何度も繰り返されるPK対決。気付けば時間は１時間以上経っていた。
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作者名：ちきんたつた | 作成日時：2024年1月3日 22時
