◇ 一之瀬 ページ32
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その時、用事で部活に来ていなかった秋と土門が来る。
そして雷門イレブンが輪になって騒いでいるのを見て秋が声を掛けた。
「なにしてるの？みんな。」
「あっ、木野！こっち来いよ！今すっげーサッカー上手いやつが来ててさ……」
円堂が彼を紹介しようとすると、彼は秋に勢いよく抱きついた。突然のことに周囲は驚き、Aは呑気に口笛を鳴らす。
土門が抗議の声を上げた。
「お、お前！何を……！あ、…」
そして、秋から離れた少年―――一之瀬一哉は軽快に笑った。
「 ――― ひさしぶりだね、俺だよ。」
どうやら彼はこの前土門が話していたアメリカに留学していた頃の友人らしい。
事故にあって亡くなったと思っていたらしいが、こうして再会出来て秋も土門も嬉しそうだ。
練習再開し、円堂達が練習している中、ベンチで会話していた一之瀬へ声を掛けた。
「おーーーい、一之瀬ーーー！！一緒にやろうぜ！！」
そうしてフィールドに入った彼は、ボールを自身の手足のように操りながらみんなを抜かしていく。
ゴール前まで行く前に、鬼道が立ち塞がった。
一之瀬は笑みを浮かべ、ヒールリフトでボールを上げた。
「もらった！！…何ッ！？」
(ヒールリフトを読んでいたなんて凄いや！)
(それを読んでカーブを…、しかもヒールでかけていたとはな…)
その戦いをフィールドの外で見ていた豪炎寺とA、そして円堂。
あの鬼道が抜かれたことに、豪炎寺は感心したように呟く。
「鬼道と互角…、いや、それ以上に渡り合えるとは…！」
「さすがだね。」
その時、フィールドにいた一之瀬から声が掛かる。
「おーーーい、そこの女の子！」
一之瀬の視線の先にいるのはAだ。呼ばれた本人はキョトン、と首を傾げた。一之瀬は笑顔で、ボールを持つ。
「俺、キミともやってみたいな！――― おいでよ！」
「……へぇ〜、いいよ。」
フィールドに一之瀬とAが対峙する。
雷門イレブンはフィールドの興味深げにその勝負を見つめていた。
「神の指揮者と、フィールドの魔術師か……」
「どっちが勝つか、勝敗が気になるな。」
鬼道がポツリと呟き、豪炎寺が鬼道に頷きを返す。
フィールドでは、一之瀬とAが接戦を繰り広げていた。
現在ボールは一之瀬が保持しているが、Aが四方八方から奪わんと仕掛けている。
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作者名：ちきんたつた | 作成日時：2024年1月3日 22時
