◇ 別のサッカー ページ30
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「何処に行くんだ？」
「ま、来てみればわかるよ。」
試合終わり、夕暮れに染まった中豪炎寺とAは鬼道を連れてある場所へやってくる。
そして石の階段を上げると、いつも通りの光景……円堂がタイヤで特訓している所だった。
「やっぱり来てたか。」
「！鬼道、豪炎寺、A……！」
鬼道と円堂は二人で設置されているベンチに座り、豪炎寺とAは対になる様に柵の前に立っている。
鬼道が徐に円堂へ口を開いた。
「お前、よくあんなトレーニングやってるのか。」
「ああ！キーパー力をつけるには、これが一番なんだ。それに、今日だって点入れられちゃったからさ、もっともっと力付けないとな！」
「だが程々にしておけよ。試合前に怪我したら元も子も無い…」
「大丈夫だって！いつもやってんだから。」
「そいつ、1年の頃からこれやってんだよ。」
「そうそう！いつか、じいちゃんみたいなキーパーになりたくってさ。」
「お前の原点、円堂大介が生まれた場所ということか……、」
夕日を眺めていた円堂だが、ふと思い出したように軽快な笑みを浮かべた。
「でもびっくりしたよな〜！いきなり鬼道がピッチに現れた時は！まさかお前が来るなんて、思ってもいなかったからさ！」
「それは悪かったな、驚かせて。」
「でも、嬉しかったぜ。俺、ずっと思ってたんだ。コイツと一緒にプレー出来たら楽しいだろうなーって、初めてお前の球を受けた時から！
世の中には、こんなすげー球を蹴るやつがいるのかって。
それに、Aもそうだけどお前のゲームメイク力！」
「だがサッカーはそれだけでは勝てない……」
軌道の脳裏に浮かぶのは、雷門が次々と迫る強敵に諦めず立ち向かう姿。そしてその火をつけていたのは、円堂だったのだ。
徐に鬼道は、柵の方へ向かう。
「考えてみれば、あの時からかもしれないな。もっと別のサッカーがあるかもしれないと思ったのは……」
「別の、サッカー？」
「ああ、それが何なのか、今の俺には分からない。…だが、今日お前たちとプレーしてて俺は思った。ここなら、それが見つかるかもしれないと。
神の指揮者…、Aをフィールドに蘇らせ、豪炎寺に再びボールを蹴らせたお前となら…」
「……鬼道、これからもよろしく頼むぜ！」
「ああ、こっちこそな！」
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作者名：ちきんたつた | 作成日時：2024年1月3日 22時
