◇ 千羽山戦 05 ページ26
.
────────── パンッ！
「「「「！！！！」」」」
「ハァーイ、みんな落ち着いて！」
緊迫した空気を切り裂いた音と声に、みんながその音の発生源に目を向ける。
その発生源はAだった。雷門イレブンの驚いた顔を他所にAはへらりと笑う。
「ちょっとちょっと、これからだってのにこんなギスギスしてどうすんのさ〜？フィールドにいる皆がこんなだと、ベンチの皆にまで伝わっちゃうじゃん。」
へらへらっと笑みを浮かべるAは、次いで笑いながら、だが少し真剣な色をその目に写しながら言葉を続けた。
「私から言いたいことは二つ。まず鬼道」
「？」
「確かにキミの言ったことは的を得ている。そして君の言うことは最もだ。
けど、お仲間サッカーっていうのは頂けないな。どんな形であれ、仲間を信じて戦う、お仲間サッカーは雷門サッカーみたいなもんだからさ。
キミも、雷門イレブンになったからにはそのサッカーを信じて欲しいな。」
「…ああ、すまない。」
「ん、大丈夫！私も強く言いすぎたね〜ごめん。」
そう言い、鬼道の肩に手を置いたAは、次いで半田に顔を向けた。
半田は、少し不服そうな顔しかし何処か罰の悪そうな顔をして俯いている。
「そして……半田。」
「……」
「大丈夫、半田の気持ちもちゃんとわかってるから。」
「！」
「いきなり新メンバーが入って、いつもの形が変わって戸惑っちゃっただけなんだよね。
でもね半田 ――― 今、鬼道は雷門のユニフォームを着てここに立ってるんだ。」
「A……」
「それに！サッカーの形なんて一つだけじゃないでしょ？」
「一つだけじゃ、ない……？」
「そう、豪炎寺と染岡のツートップが正しい時だって、今日みたいに染岡のワントップが正しい時だって、その時によって違う。
たとえいつもと形が違っても、雷門ユニフォームを着てるからには気持ちは一緒でしょ？
みんな諦めたくない、勝ちたいって思ってる。」
そして、Aはいつも通り皆に笑顔を向けた。
「大丈夫！もし何かあった時には、私が導いてあげる。」
「…Aの言う通りだ。頼んだぞ、染岡。」
「お、おうっ！！」
「豪炎寺……！」
「やってみよーぜ、半田！」
「……わかったよ。」
.
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 103人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：ちきんたつた | 作成日時：2024年1月3日 22時
