◇ 花嫁 ページ3
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そのまま勝負に移る…かと思いきや、本人の霧隠がそれを止めた。
「待て、まだ本来の目的が果たせていない。」
「本来の…目的？」
「豪炎寺に勝負をふっかけてきたんじゃなかったのかよ？」
雷門イレブンは口々に疑問を呟くが、霧隠はそれを一切気にせず歩き出す。
そして、ある人物の目の前に…Aの目の前にピタリと止まった。
次いで、徐に両手を握った。
「 ───── 神童A。お前を、俺の花嫁として迎えに来た。」
「ハ？」
【 花嫁 】とは、
結婚式を挙げる女性(新婦)、または結婚して間もない女性のこと。
By Wiki○edia
「「「「はああああああ！？」」」」
「Aが、花嫁…！？」
「こ、公開プロポーズってやつ？」
いきなりのプロポーズ(笑)に雷門イレブンは困惑の声を上げる。中でも豪炎寺、風丸は険しい顔をして霧隠を睨みつけていた。
「え、えーと…き、霧隠、」
「才次だ。」
「さ、才次クン？なんで急に…っていうか、プロポーズは嬉しいけど急だし…私以外にも君にはお似合いの子がいるんじゃないかな〜…あはは、」
Aは頬をひくつかせて何とかそう返すが、霧隠はさらに強くAの手を握り、その言葉に返した。
「雷門としてのAのプレー、見せてもらった。
仲間を信頼して放つタクト、試合に対する真剣さ、勝利して喜ぶ笑顔。
そして何より…仲間の背中をそっと押すその優しさ。
俺は他の誰でもない、お前に惚れたんだ！」
真っ直ぐと言われ、今までにあったことの無いような人種、ましてやその人物にプロポーズをされたことに戸惑うAは思わず頬を染める。
「だから俺は決めた。お前を…Aを娶り、戦国伊賀島のチームとして一緒に戦ってもらう！」
「「「！！！」」」
戦国伊賀島のチームとして、ということは、その言葉通りAがそちらのチームに行ってしまうという事。
円堂が言い返そうとした時、
「 ───── Aは『俺達の』チームメイトだ。」
「…」
Aと霧隠の繋がれていた手を引き剥がし、護るように前に出たのは低く声を放つ風丸と、無言の豪炎寺だ。
その様子に、霧隠は不機嫌そうに鼻を鳴らす。
「…ふん、まあいいさ。どうせこれから試合するんだ。それで決めようじゃないか。」
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作者名：ちきんたつた | 作成日時：2024年1月3日 22時
