◇ トライペガサス ページ19
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「ねぇ土門くん、『トライペガサス』だったら？」
「…！ああ、オレ達のトライペガサスか、！あれなら…！」
秋が土門へ声を掛け、土門の口から出た必殺技らしき名前に円堂は食い付いた。
「何っ！？それ、どんな技？」
「一ノ瀬とオレと、もう一人の技だったんだ。」
「三人技か…」
「確かに、三人技なら千羽山のディフェンスを崩すのに最適かも。」
豪炎寺は興味深そうに呟き、Aはウンウンと頷く。
円堂は土門へ、「なあなあ、その一ノ瀬って、どんな奴！？」
と笑顔で聞くと秋が答えた。
「私と土門くんが、アメリカに留学してた頃の友達。サッカーすっごく上手かったんだぁ。」
「ああ、オレ達のチームをアメリカン少年リーグ優勝に導いた立役者だった。天才だったよ、『フィールドの魔術師』って呼ばれてた。」
「フィールドの魔術師…かっこいー！！会ってみてぇ…！その一ノ瀬って、どこにいんの！？」
円堂が聞けば、土門は眉を下げながら笑みを浮かべ空を指さした。それに釣られて円堂達は上へ顔を向ける。
そして土門は「死んじまった」と一言話し、円堂はキョトンとした顔をする。
だがすぐに、秋が話し出した。
「でも土門くん、あなたならあの技をみんなに教えること出来るんじゃない？」
「かもな。うーん、うーん…うーーーん…」
「「……；」」
「早く教えろよ！！；」
「言葉にするのムズいんだよ；」
そして土門は「いいか？」と言いながら地面に技の構成を書き出す。
それに伴い円堂達もしゃがんだ。
…その時、豪炎寺は春奈が何かを見つけたよう門の方へ向かっているのが見えそちらに目を向けていた。
Aも、そちらの方をちらりと目に映していた。
鬼道と春奈夕暮れに染まる河川敷の土手の上にいた。
徐に、春奈がポツリと話し出す。
「聞いたよ、世宇子中戦の事。残念だったね。」
「残念…？残念なんてモノじゃない…、オレの目の前で、仲間があんな事に…こんな悔しいことがあるか……ッ、俺は…俺は…っ、―――――ッ！！」
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作者名：ちきんたつた | 作成日時：2024年1月3日 22時
