◇ 噛み合わない ページ17
◇
そして、雷門イレブンはいつもの通り練習を始める。
だが、その様子はいつもとは違った。
「宍戸！パスッ！」
「イチ、ニ、サンッ！」
宍戸が自身の声に合わせ前方に走る風丸へパスをだすがそのパスはタイミングが噛み合わずフィールド外へ出てしまった。
「壁山ヘディングーーーー！！！うっ；」
「何やってんだよ、壁山〜！」
「おっかしぃな〜いつもみたいにやったんスけど…」
壁山がボールをヘディングで受け取ろうとしたら顔面にボールが当たってしまったり。
「栗松っ！！」
「―――ぎゃああっ！；」
「もしかしてオレのボール、スピード違反だった…；？」
土門が栗松にパスをするも、勢いが強すぎてシュート並みのボールが向かっていったり。
「染岡！ドラゴントルネードだ！！」
「 ――― �� ドラゴン …」
「―――――― トルネード �瓠�！！」
豪炎寺と染岡のドラゴントルネードは、不発に終わった。
そして二回目も打つが、それも不発。これに豪炎寺は眉を顰める。
「何故決まらないんだ…？」
「オレの蹴りが甘かったか…？」
「いや、お前の蹴りは完璧だった。」
雷門イレブンのいつもと何処か違う様子に、マネージャー達も不安げな顔だ。
夏未が顔を顰めて口に出す。
「何よ、みんなたるんでるわね。」
「みんな変だわ…、それに、ドラゴントルネードが決まらないなんて…」
秋の不安げな声に、夏未は「身体がなまってるんだわ」と厳しく言う。だが、春奈がそれを否定した。
現に少林寺は「クンフーヘッド」を身につけ、ほかの者達も動きは格段に良くなっている、と。
「じゃあ、気持ちがなまってるんだわ。イナビカリ修練場で特訓かしら。」
「 ――― その修練場のせいだ。」
「どういう事ですか？…」
「皆の個人的な技術や身体能力が格段に上がったせいだ。」
「？…分かりやすく説明してください」
マネージャーたちの視線を受けた響木は低い声で話し出した。
◇
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作者名：ちきんたつた | 作成日時：2024年1月3日 22時
