音の波紋を、雷へ。第三章【イナズマイレブン】 (ページ48)

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◇ 自分らしくページ48

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その日の放課後、Aは帰り道に見慣れた姿が目に入り声を掛ける。

「かーぜーまーる！」

「！…Aか……」

「途中まで一緒に帰ろ？」と言うと了承してくれたのでAは隣へ並ぶ。
だが、練習の時と同じ様な表情に笑いながら声を掛けた。

「ほんっと、風丸って意外とわかりやすいよねぇ〜

陸上部か、サッカー部か……それで悩んでるんでしょ？」

「…、敵わないな、Aには」

そこまで言い、力無く笑う風丸。
そしてAは続けた。

「私に言えることなんて、無いかもだけど……今の風丸って、昔の私と似てる。」

「昔の…A？」

「うん。私、音楽が好きでさ。ピアノとか…歌とか。大好きで大好きで…でも、それと同じくらいサッカーが好きだった。

でも、両立って難しいじゃん？そうやって悩んでた時、母さんに言われたんだ。

音楽もサッカーも、組み合わせてプレーしたらいいってさ。それが今の私のサッカー。」

それを聞いた風丸は確かに、と内心思う。

Aのサッカーは神のタクトを始め、フォルテシモなど音楽に関するものばかりだ。

「これは私が勝手に思ってる事だけど……

陸上か、サッカーか、どっちを選ぶにしても自分らしくあれる方を選んだらいいんじゃないかな。」

「自分らしく……そうだな、ありがとう。A。」

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次の日の朝練。

ゴールへと炎の風見鶏が勢いよく決まる。

「いいぞーー！その調子だ！」

「昨日より精度が上がっているな。パワーも充分だ。もう一回！」

「「はいっ！」」

練習を続けている中…

「え…、お父様が…！？」

その声を拾ったAは声の主の方へ振り向く。
そこには、驚愕の表情を顕にしている夏未がいた。

所変わり、病院。
円堂とAの目の前には俯いて震えている夏未が座っていた。
その姿はいつもの凛々しい姿は想像できない。

…先程、夏未に知らされたのは雷門総一郎が事故にあったという知らせだった。

全国大会の会場、フロンティアスタジアムを下見した帰りに事故にあった。搭乗していたほかの者も怪我をしたが、理事長が一番の重体で意識不明。
…意識を失う最後まで、フットボールフロンティアを気にかけていた。

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