音の波紋を、雷へ。第三章【イナズマイレブン】 (ページ36)

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◇ いい表情ページ36

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やんややんやと騒ぐ様子に、Aはクスクスと笑う。
その笑い声に気付いた鬼道も帝国イレブンもAに視線を向けた。

そして次いで、眉を下げて謝った。

「……ごめんね、練習試合の時、あんな事いっちゃって。今思えば君達は、影山零治に従っていただけなのに……」

「いや……いいんだ。俺達は勝者こそが全てだと教えられてきたから。

けど、これからは自分達が思うままにサッカーをする！」

決意を宿した表情でそう言い切る鬼道に、Aはどこか優しく目を細める。
そして、帝国の皆に向かって言葉を紡いだ。

「 ──── 良い表情(カオ)をするようになったね。」

「……！」

「練習試合の時とはまるで違う、心の底からサッカーが楽しいって表情。
キミも……君達もね。」

鬼道と帝国イレブンを視界に映しながらそう言うA。
Aは帝国イレブンのこの表情が見たかったのだ。

徐にAは、鬼道に手を差し出す。

「良い戦術だった。こればっかりは完全に抑えられちゃうかもって思ったよ。…けど、次はそうはいかないよ〜？負けないからね。」

「…臨むところだ。」

憧れから真っ直ぐ言われ、鬼道は込み上げてくるような嬉しさを噛み締めながら握手を交わした。

まだ、対等に並べた訳では無いかもしれない。
まだ、同じような実力を持ったわけでも無いかもしれない。
まだ、追いつけてないかもしれない。

それでも……どうしようもなく、嬉しかった。

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