音の波紋を、雷へ。第三章【イナズマイレブン】 (ページ28)

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◇ 帝国学園戦 02 ページ28

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「落ち着いて行こう、円堂！」

「あ、ああ…」

円堂は風丸に声を掛けられるが、どこか曖昧に返事をする。
…その様子を、豪炎寺は顔を顰めて見つめていた。
Aも同じように表情を険しくさせて思考する。

(様子が可笑しいとは思ったけど…まさか、影山から鬼道と春奈ちゃんの事聞いたの…？)

そして、鬼道のコーナーキックで再開。
鬼道の放ったシュートに選手達は集まるが、帝国の佐久間が高く飛びヘディングでゴールへと打った。

正面だったので完璧に止めるかと思いきや、円堂はボールを手から零し慌ててしゃがみながらボールを抑えた。

流石にいつもと違う様子に気付いたのか、雷門イレブンやベンチにいる者は顔を困惑させて円堂を見詰めている。
Aと豪炎寺は、先程と同じく険しい顔のまま見つめている。

円堂から少林寺へパスが送られる、けれどその瞬間鬼道がボールを奪った。
その様子を春奈はベンチで見ながら思考する。

別々に引き取られてから兄は変わった。
けれど、…

(正義感の強い所は変わってない…)

(『春奈を虐めるやつは許さない！』)

脳裏に浮かぶのは施設で春奈を庇いいじめっ子達に殴られる兄。
春奈は自身の兄の姿が、どれが本物なのか分からなくなっていた。

鬼道は攻め上がり、その前に壁山が立ち塞がる。
センタリングを上げさせないと吠える壁山だが、鬼道にヒールリフトでボールを上げられ交わされる。

そして、円堂と一体一に。
鬼道は足を振り上げ、シュートを放とうとする。

「円堂ォオオオオ！！」

「 ──── 打たせないよ！」

けれどその瞬間、Aが鬼道のシュートをブロックする。
ボールは洞面の元に落ちるが、どうやら鬼道は足を負傷したようでボールを外に出した。

円堂を見詰めるAに、豪炎寺が静かに声を掛ける。

「…ナイスブロック。」

「…うん」

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