◇ 成功 ページ10
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―――そして、何度目の挑戦か。とっくに日は暮れていた。
豪炎寺の身体はボロボロになり、豪炎寺にアドバイスしなごら自身も練習しているAの身体も同じ様にボロボロになっていた。
何度目かの挑戦で二人が息を切らしていると、染岡が声を掛けてくる。
「なぁ、もうやめないか、ボロボロじゃないか。」
「そっちこそ…！」
「二人だって、ボロボロじゃん」
そう言う染岡の腕も、風丸の手も赤く腫れ上がりボロボロだ。
スパイクの靴を直に受けていたのだから当然だろう。見ていて痛々しい。
「こんなの大した事ねぇよ！それより、お前ら…」
「「俺／私だって大したことない！」」
豪炎寺とAの覚悟した顔付きに何か思う所があったのか、二人は観念したように頷き、風丸は力強い声音で言い放つ。
「豪炎寺、A…わかった、付き合うよ！」
二人の頼もしさに、豪炎寺とAは軽く笑う。
―――そして、何度目かの挑戦。
Aは走り、オーバーヘッドキックを繰り出した。
「――― はあッ…！」
そして、Aは空中でクルリと一回転し、見事に着地した。
出来たことに、顔を輝かせる。
「出来た…やったぁ！！」
「A…！出来たな！」
「うん…！よし！次は豪炎寺の番だよ！」
「おう！」
豪炎寺も次いで走り、何度目かの空中でのオーバーヘッドキックを繰り出す。
そして、前までは背中から落ちていたものの、今度は華麗に着地した。
本人はやっと成功した事に呆然としていたが染岡の声で我に返る。
「やっはーーーー！A、豪炎寺ぃ！！」
腕を振り回して喜ぶ染岡の隣で、風丸も静かに微笑んでおり二人はその様子に笑みを浮かべる。
だがその途端、力尽きたように倒れた。
「A、豪炎寺！！」
Aは風丸に、豪炎寺は染岡に肩に腕を回され起き上がる。
二人は大丈夫だというふうに笑っていた。
「とうとうやったな、二人とも！」
「いや、まだまださ…ようやく三分の一って所だ。Aも、今回は俺がメインなのに付き合ってくれてありがとう。」
「んーん、私もオーバーヘッドキックの練習しなきゃだったし…」
「でもとにかく、やれそうな希望は見えてきたよ！」
夜空の星が、キラリと輝く。
「よーしみんな！あとひと踏ん張りだ！野生中との試合は、もうすぐだぞ！」
「「「おうっ！！」」」
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作者名：ちきんたつた | 作成日時：2023年12月10日 14時
