◇ 不穏 ページ8
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土門は、雷門中の校門近くを走る。
息を切らして走る中「ちょっと休憩」と言いながら近くにあった電柱に背を預けた。
「 ――― 円堂大介の秘伝書があります。ですが円堂以外誰も読めませんし、手に入れたところで意味はないでしょう。
神童Aも、特に何か行動を起こしている所は見受けられません。―――休憩終わり！」
「あっ、土門さーん！練習始まってますよー！」
「あぁ！わりぃわりぃ！」
普段のどこか飄々とした彼とは違う、低く紡がれた声は誰に向けてか。
再び走り出した土門は宍戸の声を受け戻っていく。
――― 電柱の裏では、帝国のキャプテン鬼道がニヤリと笑っていた。
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「A、ちょっといいか？」
河川敷にて、「敵の凄技を受ける特訓」と称して染岡がロープに繋いだタイヤを皆が受けている時、Aは豪炎寺に声を掛けられる。
「なーに？」
「円堂が言っていた『イナズマ落とし』について何だが…ていうか、お前も大体想像出来てるんじゃないのか？」
「うん、大体ね。多分豪炎寺と想像してるのは一緒じゃないかな。後で円堂に話に行こっか〜」
「ああ。」
＊＊＊＊
「円堂、ちょっといいか。さっきの秘伝書の事なんだが…Aと一緒に考えたんだ。」
「？うん！」
地面にしゃがんだ三人。
豪炎寺は木の棒で地面の土に詳しく絵を描きながら説明する。
「あれって、こういう事じゃないかな。まず一人が飛ぶ。もう一人がそいつを踏み台にして、さらに高さを稼ぐ。充分な高さに達した所で、オーバーヘッドキック。
…どうだろう？」
「あの秘伝書の言葉を聞く限り、こういう事だと思うんだけど…」
「豪炎寺、A…」
二人が円堂の方を見れば、本人はキラキラと顔を輝かせていて、「そうだよ！多分その通りだよ！すごいなお前ら！」と真っ直ぐ言われるもので二人は汗を垂らした。
「そんな不安定な足場から、オーバーヘッドキックを出せるのは！豪炎寺、A、お前しかいない！」
「Aは分かるが、俺が…？」
「そして踏み台になれるやつは―――」
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作者名：ちきんたつた | 作成日時：2023年12月10日 14時
