◇ 恐ろしく汚い ページ7
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「暗号で描かれてるのか…？」
「外国の文字っすかねぇ？」
部室に集まって皆で秘伝書を見ながら話す。
染岡と壁山はそう解釈するが、風丸はピシャリと言い放った。
「いや、おっそろしく汚い字なんだ。」
「「「……；」」」
「汚いんですか…」
「誰も読めないんじゃぁ…」
「「円堂！！！」」
「すっげー！「ゴットハンドの極意」だって！」
「「「「読めるのかよ！！」」」」
「だってじいちゃんの特訓ノート読んでるから！俺も最初、何書いてあるかわかんなかったんだけどさ！少しずつ読める様になったんだ！」
そりゃそうだ、とAは納得する。円堂の持っている特訓ノートを何度か読ませてもらったが、頭が良いと周りから言われる自分でも何か字面が書いてあるとは分かったが読み解くことは不可能だった。
あれを読めていた円堂なら、この秘伝書も読み取れるのだろう。
＊＊＊＊
改めて、部員達は部室に座る。
Aは円堂の隣になる様に足を組んで机に座っていた。
「―――うん！相手の高さに勝つにはこれだ！『イナズマ落とし』！」
そのインパクトのある名前に、部員は目を輝かせる。
こんな強そうな技名なら野生中にも勝てるかもしれない。
円堂は、読むぞ、と続けた。
「いいか？一人がビョーンて飛ぶ。もう一人がその上でバーンとなってクルッとなってズバーン！これぞ、イナズマ落としの極意！…えっ；」
「「「……；」」」
「なんだよそれ…；」
「ビョーンとかバーンとかそんなんばっかじゃないっすか；」
皆は見事にずっこけ、染岡と壁山は呆れた様に呟く。
土門も見事にタイヤから転げ落ち、これには普段クールな豪炎寺も苦笑するばかりだ。
一方Aは、肩を震わせて笑いを堪えていた。
「く、ふふ…語彙力…っ」
円堂と初めて会い、シュートの感想を言って来た時も円堂はそんな表現をした気がする。
やはり血筋は血筋だなぁ、といっそ感心するAであった。
風丸は苦笑いしながら円堂の肩に手を置く。
「円堂、お前のじいさん国語の成績良かったのか…？；」
「さあ…；サッカー一筋の人だったらしいから；」
いつの間にか起き上がっていた染岡は呆れた様に呟く。
「あんだけ騒いでビョーンのズバーンか…もうちょっと書いてくれよ；」
「でもさ！じいちゃんは嘘はつかないよ！ここには、本当にイナズマ落としの極意が書かれてるんだ！後は特訓すればいいんだよ！」
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作者名：ちきんたつた | 作成日時：2023年12月10日 14時
