◇ 警戒される指揮者 ページ31
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円堂が首を傾げて呟き、春奈はAに顔を向ける。
雷門イレブンもAに顔を向けるが、本人は手を腰に当てながら杉森を見据えていた。
「神童Aの技は完璧にデータとして表されていない。特に…『神のタクト』は。
あのタクトは本人の思う次第に変幻自在なタクティクス、故にデータとして不足している。」
「…、へぇ？神のタクトは御影専農でさえも抑えられるかわかんない？そりゃあ嬉しい、感動。」
「……先程も言った通り、変幻自在なタクティクスな為把握するのは難しい。だが、他の者達のデータは完璧に把握済みの為抑えるのは可能だ。」
それは言外に、『神のタクト自体は攻略が難しいが雷門イレブンの実力不足な為に簡単に攻略出来る』と言われている。
それがわかった雷門イレブンは表情を顰めるがA本人は突然、笑い声を上げた。
「あっはっは！随分と断言して言うね！……でもさ、覚えといた方がいいよ〜？キミも、
――― 雷門イレブンは他のチームには滅多ないモノを持ってる。それが何かは君達には理解し難いだろうね。」
これはAが常日頃思っている事だ。
実際、神のタクトは指示を出す選手が優秀な程、付いていく選手が強ければ強い程、効果を発揮する。
この前まで実力が不足していた雷門イレブンはめきめきと成長していっている。
そのみんなの心の中に必ずあるのは『諦めない』『サッカーが好き』と言う気持ちだった。
「キミが断言するなら私も断言してあげる。雷門は勝つ。そして、私を含めみんなもーーーっと強くなる。それこそ、キミ達がその表情を変えるくらいには、ね。」
そう言いながらニヤリと笑うAを見て、杉森達は無言で去っていった。
杉森を見ながら悔しげな表情をしている円堂を見て、Aは笑みを浮かべ肩を組む。
「なーに険しい表情してんのさ！」
「A…」
「言ったでしょ？雷門は勝つ！そして皆もーーーっと強くなるってさ！そんな険しい顔してちゃ練習もはかどんないよ！」
「…うん、そうだな！Aの言う通りだ！」
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作者名：ちきんたつた | 作成日時：2023年12月10日 14時
