◇ 馬鹿と大馬鹿、そして ページ26
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―――― 御影専農中学
御影専農中サッカー部杉森威と下鶴改は、放課後部活を終え校門を潜る。
だがそこへ、第三者の声が投げかけられた。
「―― よぉ、サッカーサイボーグ。お前達は雷門の偵察には行かないのか？」
「帝国の、鬼道…」
そう、声をかけたのは帝国学園鬼道有人だった。彼は私用で来ていたのか、私服だった。
杉森は鬼道の問いに淡々とした声で返した。
「時間の無駄だ。我々は既に、雷門のデータに勝っている。」
「ふっ、シュミレーションは完璧という訳か。だが所詮はデータの再現に過ぎないな。」
そう言って鬼道は二人に近寄る。
その顔には薄らと笑みが浮かんでいた。
「お前達が持っていないデータを提供しよう。」
「目的はなんだ？」
「確実に奴らを潰して欲しいだけだ。とにかく奴らは普通じゃない。奴らは――「馬鹿」なんだ。」
下鶴は「馬鹿？」と疑問げに呟き、杉森は「それがデータなのか」と相変わらずの無表情で問う。
「実は俺も上手い説明が見つからない。自分の目で確かめることを進める。
…そうだ、ゴールキーパーの円堂守。奴はとびっきりの「大馬鹿」だ。」
二人に背を向け、振り向きながらニヤリと笑う鬼道は「あと」と続ける。
その顔は先程とは違いやけに真剣味を宿していた。
「雷門中には「指揮者」がいる。…サッカーサイボーグは指揮者に通用するかな？」
そう言い残し、鬼道は手を振り去って行く。
その背を見つめながら下鶴は口を開く。
「「馬鹿」と「大馬鹿」か……そして、「指揮者」。」
「確かに、インプットされていないデータだ。それに…「神の指揮者」基神童A…、我々が警戒するべき人物だ。」
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作者名：ちきんたつた | 作成日時：2023年12月10日 14時
