◇ 居残り練習 ページ14
⚡️
いつものように雷門イレブンは河川敷にて特訓する。
野生中との試合が近いこともあってか皆特に気合いが入っているようだ。
その様子を、橋の上に止まってある高級車から夏未が見ていた。
「たかがボール蹴りにどうしてそこまで熱中出来るのかしら…馬鹿ね。Aも、どうして…」
そんなこと言いながらも、夏未を乗せた車は暫くそこに止まっていた。
Aの蹴ったボールが宙へ飛ぶ。
だが壁山は体制を崩し、そのまま背中から地面に落ちてしまった。
「どうしても、下を見てしまうんす…」
「もう一度だ！」
「無理っす！」
「諦めるな！出来ないって悩むより、どうしたら出来るか考えるんだ！」
「そうだよ、最初から諦めてちゃ何にも変わんないよ〜？」
「どうしたら…、？」
壁山は、二人の言葉に顔を上げる。
だがその脳内には高く飛び上がった時視界に写る地面がくっきりと浮かび出た。
「うううう…っどうしたってできるワケないっすーーーーー！！！；」
「「「はあ…；」」」
＊＊＊＊
「――― はあっ！！っぐ…！！」
「今のさっきよりよかった。もう少し身体の軸を意識して、今度は木の棒の中心を足で捉えるようにしてみるといいかも！
次、私がやってみる！」
「ああ、わかった！」
豪炎寺とAは現在鉄塔広場へいる。
豪炎寺は鉄塔の棒へと木の棒を吊るし、そこを足場として不安定な場所でもオーバーヘッドキックが完璧に出来るよう練習している。
Aは豪炎寺に声を掛けられ、アドバイスを求められたのでこうして声掛けをしている。
だが自身も不安定な場所でのオーバーヘッドキックは不安だっので練習していたため、服は汚れていた。
そこへ、聞きなれた声が聞こえてくる。
「二人で居残り特訓かー！不安定な足場でも飛べる練習、俺も付き合うぜ！」
「「円堂…」」
＊＊＊＊
「ねえさまー…」
すっかり日が暮れ、星空になった夜。
Aが自室のソファにて本を読んでいると、扉の向こうから弟の声が聞こえ顔を上げる。
「拓人？どうした？眠れないの？」
「んーん、あしたさっかーのしあいがあるってメイドさんからきいたの…」
「あー…」
「…ねえさま、頑張ってね！それだけ！」
「あっ、」
言うだけ言って、頬を照れたように赤くしながらすたこらさっさと去っていった弟にAは優しく笑った。
⚡️
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 41人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：ちきんたつた | 作成日時：2023年12月10日 14時
