【文スト】探偵社のお兄さん ２

52話【男主side】 ページ9

offence(攻勢)が外へ行き暫くすると
ランポの「むぁぁ〜」と云う声が静かだった部屋に木霊した


「暇だ〜
外出たい〜」

「今出たらマフィアか組合に頚をもぎり取られちまうよ」


26歳には思えないような物言いは何時も通りでもう慣れているようで
与謝野さんは新聞から目を逸らさずにそう返した


「監視映像に異常は無いか」

「今の処は退屈な映像ばかりだねェ」


彼女の答えは予想通りだったらしく社長も本から視線を動かさない


「この講堂は通常入口が存在せず侵入には地下の廃路線を通る他無い

故に敵兵が侵攻して来た時
路線内の監視映像によって事前にそれを知れる」

「道中は罠も満載だしねェ
この地形で侵掠戦(しんりゃくせん)なんて余程の大軍隊でもなきゃ二の足を踏むさ」


社長の言葉を引き継ぐようにして与謝野さんが付け加えた
心なしか楽しそうに見える


「戦争なんて退屈だよ！
駄菓子の備蓄は半日で尽きたし……」

『外行った時に買ってくるよ』

「…章也あまり乱歩を甘やかすな」

『？』


机に伸びていたランポが何か思い付いたようで
背筋を伸ばし目の前にあるパソコンを掴む


「与謝野さん此で花札やろう」

「おやおや何賭ける？」

53話→←52話

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す