【文スト】探偵社のお兄さん ２

86話 ページ43

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「と言っても、手が無い訳じゃあ無いよ
手が出せないギリギリの状態なのは変わらないが逆を言えば

”待っていれば”治療出来る状態になるって事だからねェ」



「……」



太宰が何か口にしようと息を吸い込む。
医者である与謝野のその言葉の意味が分かったからである。
しかし、どう言葉にして良いのか迷ったように目を泳がせ、何も言わなかった。

そんな太宰の様子に気付いた様子も無く「……だから」と与謝野は続ける



「そんな表情(カオ)すんじゃ無いよ太宰
アンタがそんな表情(カオ)してちゃ敦が余計に気に掛けちまう

＿＿それともこンなになってまで堪えた章也の頑張りをアンタが無駄にしちまう気かい？」



「……それを言われると耳が痛いですね」



「シャキッとしな、アンタは何時もの様に阿呆みたいにヘラヘラ笑ってれば良いのさ」


「ん〜……もしかしなくても私貶されてる？」



そんな太宰の言葉も虚しく
「それに……」と与謝野の華麗なるスルーを食らう。



「章也が妾達をヒヤヒヤさせるのは今に始まった事じゃないだろ？
そんな表情してたら章也に笑われちまうよ」


「そうですね、彼は私達の想像より遥かに強い

……19歳とは、思えない程に、ね」









「そう言う訳だ、さっさと行きな」


「い”っ！？」

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