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76話 ページ33

章也が指を指した方向に太宰は振り向く

太宰の視界内に頭部の裂かれたQの人形を入ると共に太宰は疾走(はし)り出す
変わらず不吉な嗤い声を上げる人形の服を掴みベンチ下から引き摺りだす


「消えろ」


人形は太宰の異能で無効化され形を失うまで嗤っていた
ボロッと崩れるようにして原型が無くなると砂のように舞って落ちた


同時に敦が膝から崩れ落ちる、彼の腕にあった手形の痣が消えた
それを見て太宰が一つ安心したように溜め息を着いた


「太宰さんの新しいお友達
ずいぶん壊れやすいんだね」


そんな彼の後ろから幼い声が聞こえてきた


「けどいいんだ」


声の持ち主は楽しそうに入り口から駅に身を乗り出した


「太宰さんを壊す楽しみが残ってるもの☆」


Q__夢野久作

___能力名【ドグラ・マグラ】


「それはおめでとう」


振り返り様Qに答えた太宰の声は何時もとは想像出来ない程に冷たく
彼の鶯色の瞳からは一片の光も見出だせない


「ぼくを閉じ込めたお礼に
いっぱい苦しめて壊してあげるね」


「善く(おぼ)えているよ
君ひとり封印する為に 大勢死んだ」


無邪気な声に変わらず冷たい声で返す太宰は硬い靴音を響かせて
「けど次は封印などしない」そう続けながら一歩を踏み出した


「心臓を刳り抜く」


「ふふふ
また遊ぼうね太宰さん☆」


扉が締まり徐々に速度を上げ離れていく列車を太宰が見送る


「私も策の清濁に拘ってる場合では無い

……か」


何かを決心したような面持ちの太宰が自分に確認するように呟いた


「行くよ敦君」


「……」


「立つんだ」


敦の手は自身の顔を隠すように覆っていた
髪を掴み指の隙間、手首、頬には涙が滴り流れている


「僕は駄目だ……
僕は居ちゃいけなかったんだ……」


捻り出すようにして出された声に太宰は黙って見詰める

「敦君」と名前を呼びながら敦の顔を持ち上げた次の瞬間

パンと云う炸裂音と共に敦の顔が弾かれた様に横を向く

…一瞬の沈黙
その間、太宰は敦を真っ直ぐに見据えていた


「君から過去を取り上げる権利は私にはない

だが(たま)には先輩らしい助言をしよう」


涙を流しながらも敦は太宰を見る


「自分を憐れむな

自分を憐れめば人生は終わりなき悪夢だよ」


変わらず涙は流してはいるが心なしか表情の明るくなった敦に背中を向け
「さあ」と立ち上がった


「そろそろ反撃といこう こちらも手札を切るよ
三百ある中で一番(エグ)い鬼札をね」

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最小幹部 - 蓮Kさん» 最近そんな感じになってきてますね、キャラがブレにブレまくってます (2019年6月4日 5時) (レス) id: 4419a0d4d5 (このIDを非表示/違反報告)
蓮K - 氷室と赤司をたして2でわったか? (2019年6月3日 22時) (レス) id: 81a8b97a68 (このIDを非表示/違反報告)
最小幹部 - さん» コメントありがとうございます!そう言って頂けると有難いです…! (2019年1月26日 10時) (レス) id: 4419a0d4d5 (このIDを非表示/違反報告)
- 続編おめでとうございます!この作品すごく好きです!ゆるゆるしてるかと思いきやしっかりと考えていたり、夢主くんの過去がとても気になります! (2019年1月24日 19時) (レス) id: a84576bae2 (このIDを非表示/違反報告)
最小幹部 - アオさん» コメントありがとうございます!楽しんで頂けるように頑張って行きます! (2019年1月10日 20時) (レス) id: 4419a0d4d5 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:最小幹部 | 作者ホームページ:なし  
作成日時:2019年1月1日 0時

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