▼夜の仕事。 ページ3
「ねえねえ、善逸くんの新曲聴いた！？」
クラスメイトの声が聞こえる。
善逸くんか。
数ヶ月前は毎月新曲出る度アルバム買ってたのにな。
今はそんな余裕、あるはず無い。
ただでさえ生きていくだけでも大変なのに、
数ヶ月後には大好きな弟の中学受験が待っている。
あの子はいつも私に気を使う。
俺もバイトするなんて言い出して口論になった事も。
大体、あんたまだ中学生じゃない。
そんな幼い時に、大事な時に両親亡くして……
受験もあるのにバイト！？
無理に決まってんじゃん。
あんたお姉ちゃんは違って頭良いんだからさ、
良い高校行って欲しいの。
………だから、私が頑張らなきゃ………
そう思い、スマホをスクロールすると、あるバイトが目に入った。
『コレ………』
と次の瞬間、背中にドスンと振動が走る。
「Aーっ！Aに善逸くんのポスターあげる！」
弾ける様な笑顔で言う彼女は、私の大事な親友の香織。
『えっ！？良いの……？』
「うん、Aが持ってた方が善逸くんも喜ぶと思うし」
嗚呼、なんて良い子なんだろう……
辛いけど、悲しいけれど、私はこの子がいれば生きてイケる。
私は
元善逸担だ。
それなりにお金も積んで、
コンサート行ったりグッズ買ったり
楽しくヲタ活してた。
まあコレも数ヶ月前の話。
今はもう、生きていくだけで精一杯だ。
ーーーーーー
『あの……』
真夜中だと言うのに目が可笑しくなる程眩しいネオン街。
正直言って、怖い。
なんて言ってらんない。
私は生きていかなくちゃいけない。
五月蝿い弟が寝静まった頃。
私は、履歴書片手に家を出た。
お昼休み見つけたバイト先。
香織に貰った菓子パン一つで生きた今日この頃。
グーグー鳴るお腹で怪しげなドアを叩いた。
『履歴書……持ってきました……』
ちょび髪のデブおじさんが、
私の事を見つめる。
「君……未成年？」
『駄目、でしょうか……？』
「………お酒は飲まないようにね」
こんなにあっさりで良いのかな。
そんなこんなで私は、
現役JKでキャバ嬢やってる。
続く
お気に入り登録で更新チェックしよう!
最終更新日から一ヶ月以上経過しています
作品の状態報告にご協力下さい
更新停止している| 完結している
←▽バイト。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 2人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：ハナミズキ | 作成日時：2020年5月28日 11時
