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▽バイト。 ページ2

『………足りない………今月生きていけない………』






時はお昼休み。


クラスメイト達は仲の良い友人と楽しそうに話す中、


周りの雰囲気とは裏腹に机に俯せながら溜息を着く少女が一人。




その小さく細い腕の手には、通帳が大事そうに握られている。


いや、学校になんつーもん持って来てんだよ!?


そう思いつつも、彼女の様子を見守る……




暫くの間ブツブツ独り言を言うと、やっと顔を上げた。




奥深い藍色の瞳がちょうど窓から差し込む太陽の光を反射する様に輝き、


長く伸ばした黒髪が揺れる。


その姿は思わず見惚れてしまう程。




今度は俯せていたせいだろうか、少し乱れた髪を直す。






『また新しいバイト探すか………』






そう言い手元に置いてあったスラホを手に取ると、何やら検索し始めた。


バイトでも探しているのだろうか………






「ねえねえ、善逸くんの新曲聴いた!?」






ピクリ、彼女の肩が跳ね上がる。


どうも、近くにいた女子達の会話に反応したみたいだ。





『………』






何かを思い出したかの様に微笑んで見せたが、


ほんの数秒後。


またスマホと睨めっこする。




心なしか、一瞬悲しそうな……辛そうに見えたのは気のせいだろうか。




彼女が何故そこまでして必死なのかは分からない。


何故そこまでバイトやお金にこだわるのかは分からない。




………ただ、彼女がとても辛い……追い込まれている状況………


………立ち位置にいるのは分かった。




by.とある彼女のクラスメイト(モブ)




ーーーーーー




「………足りない………今月生きていけない………」




ふと、通帳を見て溜息を着く。




私は、一気に現実に引き込まれた様な感覚を覚え、


それを掻き消すよう顔を俯せながら首をブンブン振る。




辺りでは皆がお弁当を広げ楽しそうに会話しているのが聞こえるが、


生憎、私は弁当を持ち合わせていない。


お腹が鳴りそうなのを必死に堪え、私は顔を上げた。




何だか視線を感じたが、私はバイトを探し始めた。





『(接客業……レストランか……パン屋でも良いな……)』





でも給料が高く無いからどれも駄目。


私はまた深い溜息を着く。


私は高校2年生にして、両親を亡くした。




一般的なごく普通の高校生だったのに、


世間からは同情の目で見られる。


親が残してた貯金でこの数ヶ月生きてきた。




が、




やばい。


もう金が無い、だからバイト探す。

▼夜の仕事。→←▼設定。



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作者名:ハナミズキ | 作成日時:2020年5月28日 11時

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