視野 ページ8
．
映画見たいしレンタルビデオ屋にいく、とつげたらひとりじゃあぶないから俺もいく、と存外かわいいことをいわれて、キュンキュンしながら到着。そのキュンキュンにふさわしい映画を、今、見つけた。
｢アッ、コレ見逃したやつー！｣
きゅんきゅん！しかも泣ける！と話題の恋愛映画。去年、体育祭やら文化祭やら考査やらでバタついていたらいつのまにか上映が終わっていたものだ。チョット高めではあるけどもうそんなのきにしたことじゃない。レンタルビデオ屋で欲しい映画を見つけたらすることはひとつ。すみやかにレジへ行く、だ。
｢Aもう決めたの･･･｣
｢ふふ、うん。あとでみようね｣
絶対恋愛モノだよね。と研磨があきれた顔をする。そんな顔したって見るものは見るからね。
✤
『っ、あ、だめ▇▇くん･･･っ』
気まずい。ベッドスプリングを鳴らしながらあんあん、という声を出すかわいい女優さん。うそでしょう余命○年ものじゃなかったのーー！それともべつのを借りてきちゃった？ とてもじゃないけど研磨のことは見れなかった。
モジモジと画面から顔を逸らしたりしてみるけど研磨がいるから下手なことは出来ない。わたしだって思春期だしコーコーセだから知識はあるしそういう系の恋愛モノだって見る。
でもすきな男の子とみるとかそんな、羞恥プレイを望んだ覚えはない。
不意に、ピッと音が鳴った。研磨が映画を止めたのだ。
｢･･･Aってこういうのすきなの｣
｢えっ、や、ちが、ちがわない？えっ･･･ち、ちがいます｣
変態野郎って思われたくないからわりとこういうのを嗜んでることは秘密にしておく。研磨が涙袋を押し上げるみたいにして目を細めて、へえ。とちいさくわらった。これは黒尾さんによるとわくわくがお。どうあがいても翻弄されるから注意、とのこと。
｢へんたい｣
｢ちがうってば！｣
｢Aってわりとへんたい趣味だよね｣
｢う、うるさい！ちがうの！余命○年とかのだとおもったの！｣
珍しく子供っぽい言い方するね、と研磨がわらう。だめだ、わたしは研磨にどうあがいても勝てない。
｢研磨のサメのやつみよう、ね？｣
｢おれまだ恋愛のこと勉強するからいい｣
言い聞かせるみたいに言ったのに、はっきりと断られてしまった。研磨にはこのふたりがどうみえてるの。そう尋ねると、知りたいの？と妙に色っぽい声色でいわれる。
｢もっと大切にしてあげれば、って思ってる。｣
どう見えてるかは教えてくれなかったけど、どう思うのかは教えてくれた。そうね、そう。そのとおり。ところでサメにしよう？と映画を変える挑戦を試みたが、失敗に終わった。
続く
お気に入り登録で更新チェックしよう!
最終更新日から一ヶ月以上経過しています
作品の状態報告にご協力下さい
更新停止している| 完結している
←まやかし
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 99人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：そあ | 作成日時：2023年12月10日 22時
