勝率 ページ1
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「また負けたあ」
「おれは5回かった」
「悲しくなるからいわないで」
わたしが5回負けてるんだから研磨は5回勝ってることくらいわかるし、己の不甲斐なさに悲しくなる。
わたしはボコボコにされてしまったキャラクターを一戦ごとに変えているのだけど、それがよくないのかも。でも研磨にボコボコにされてからもう一度戦うって可哀想じゃん・・・?
「キャラクターが可哀想だからやめます。。」
「A弱すぎる」
「研磨キャラクター変えたりしないの」
「しない」
「ずっとその女の子じゃーーん」
研磨はかわいい黒髪の女の子を使っている。細くて手足が長くて、少年向けゲームにありがちの胸ぼいーーんって感じではない小さい胸で、目がくりくりしてて、綺麗な黒髪セミロング。
か弱そうなのに、研磨に操られた女の子は、幾度となくわたしをぼこぼこにしてくる。ひどい。
「なんで女の子にこだわってるの」
「Aに似てるから」
「にてないよ」
「にてる。顔とか、体型とか」
「遠回しに貧乳って言ってる?」
ひどいひどい、うわーーんと大袈裟に泣き真似をして研磨の腰に抱きつく。研磨は華奢だから、男の子にしてはほそい。抱きつきながら片手で研磨の手を弄っていると、はなして、と険しい顔でいわれた。いちばんすきな体から離されるのは悲しい。
黒尾さんには勝てないけどそれなりの付き合いがある研磨が、スキンシップを拒むようになったのは最近のことだ。
「女の子でしょ、安易に触らないで」
「手繋いだじゃん・・・」
「いつの話してんの」
「お風呂も一緒に入ったし」
「それは神に誓って入ってない、貧乳すきじゃないし」
「わたしの胸は貧しくないけど!?」
大きな声で喚いたら、うるさいと顔を顰められた。さすがにお風呂は一緒に入ってないけど、思わぬ方向から刺された。すこし冗談言っただけなのに・・!
「貧乳でしょ、こんなぺったんこなのに」
「あのキャラクターよりはあるから!」
「ナセのこと?ナセはそこがいいんじゃん」
「やだ研磨のそういうの聞きたくない」
おれも男だよ。と研磨があきれたようにわらう。こんなにかわいいんだからうっかり女の子になるかもしれないのに。
ていうか、わたしに似ているナセの貧乳は好きなのにわたしの貧乳はすきじゃないの、なんで。悲しい。
「世の中には着痩せという言葉があるから。わたしは、貧乳じゃない。」
「ウソでしょ」
「信じてくれないならここで脱ぐ」
研磨はばかにした笑みを浮かべていたけど、わたしが服に手をかけたら「わかった、Aは貧乳じゃない」といった。いま脱いでもよかったのに。
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作者名:そあ | 作成日時:2023年12月10日 22時