おしえてあげます【国見英】 (ページ7)

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はじめてページ7

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坂井ちゃんが日直だから、図書室で待っていることにした。わたしは小説をベッドで読みたい派なので、鞄の奥底に眠っていた少女漫画を取り出す。少女漫画といえば、わたしは今日隣の席に座っている後輩と間接キスをしてしまった。少女漫画ならきゅん……♡となって恋に落ちるところだが、実際恋には落ちていない。きゅんとはしちゃったけど。国見くんがイケメンじゃなかったから許されませんでした。たぶん。

｢Aさん｣
｢ぎゃっ！｣

肩を急に掴まれたものだからちょっと大きな声が出てしまった。あわてて口を抑える。振り返ったら国見くんがそこにはいて、なぜかと聞けば気分と言われてしまった。今日は部活が休みだし、図書室に居るのはおかしくないけど。間接キスをしてしまったので、微妙に気まずい。なぜなら少女漫画ではないから！！
国見くんか隣に座ると何故か異様に動悸かするので、少女漫画を読み進めた。

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｢ファーストキスってレモンの味するの？｣
｢なんですか急に｣

大分動悸(少女漫画風にいうならドキドキ)がおちついたので、国見くんに聞いたら思いっきり顔を顰められた。わたしのファーストキスはレモン味ではなかったはずだけど、レモンの味は苦手だからとキスの際に飴を口移ししているカップルが描かれているページを見せたら、鼻をつままれた。痛い！！！って睨んだら昼休みのときのようにちょっと笑ってすぐ離してくれたけど。

｢飴口移ししたいんですか｣
｢きたないからしたくない｣

したくないのかよって国見くんが砕けた口調でわらった。わらった顔はいつみてもかわいい。青城のイケメンといえば及川！って及川がぜんぶもってっちゃってるけど、国見くんもなかなかのイケメンである。及川似のイケメンは漫画で見たことはあるけど、国見くんはない。夜の漫画家は国見くんを量産したらいいのに、なんて少し思ってしまった。失恋でおかしくなってるのだ、きっと。

｢この人Aさんに似てますね｣
｢えっうそ！？｣

わたしこんな目デカくないしキラキラしてないよ！？って言ったら国見くんは俺からしたら同じようなもんですと何考えてんのかわかんない表情で言った。遠回しに褒めてくれてる？さすがハイスペは違うね。
伊藤くんの最大限の褒め言葉はアスカちゃん(ゲームの小5女子らしい)みたいだね、だったのを思い出す。そういうちょっとおかしいところが大好きだったのだ。

｢くすん｣

息をした拍子に涙が出てきた。失恋してからはじめてのなみだである。急に泣き出したばかみたいなわたしに、国見くんは黙って背中をさすってくれた。

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