おしえてあげます【国見英】 (ページ5)

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邂逅ページ5

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｢よしよ〜し、Aはがんばってるよ。伊藤がAの魅力に気が付けなかっただけだからね｣

坂井ちゃんがわたしの頭をゆっくり撫でた。坂井ちゃんの撫で方はすきだ。すきだし、うまい。どのくらいかって言うと、国見くんの次くらい。土日を挟んでの、月曜日。今日は部活おやすみ。国見くんとは今日はまだ話してない。
坂井ちゃんはお泊まりデートが大成功を収めたらしく、ご機嫌だ。ご機嫌な坂井ちゃん、かわいい。

｢次の恋探したら？合コン開く？｣
｢わたしの好きなタイプは合コンを誘ってくれるような友達もいない人なの…｣
｢相変わらず趣味悪〜い｣

ひどい。なんかこう、人気者とかってわたしがいなくても幸せじゃん！わたしが幸せにしたいの！もしくは、わたしと幸せになってほしいの！毎回こっぴどく振られてるけども…！坂井ちゃんはけらけら笑ってりんごジュースにストローをさした。わたしは期間限定塩キャラメルラテの飲み口を開けた。

｢いい感じの人、いないの｣
｢いないよ…先週振られたばかりなのに…｣
｢あれは？仲良い男バレの1年｣
｢金田一？｣
｢たぶん違う、もっと眠そうな｣
｢あー、国見くん？｣

いつの間にか名字呼びになってる、と坂井ちゃんはにやにやした。相変わらず坂井ちゃんはかわいい。ただのコーハイだよと言ったけれど、坂井ちゃんはまたにやにやした。

｢ぶっちゃけどうなの｣
｢国見くんわたしのことなめてるもんー｣
｢どういうところが｣
｢俺にしませんか、俺と付き合います？って言われた｣
｢えっマジですきなんじゃないの、Aのこと｣

にやにやじゃなくてちょっと驚いた顔をした坂井ちゃんは、後ろの席の岩泉に｢ねえアンタのとこの1年国見英がAのことなんか言ってたりしなかった？｣と聞いていた。ヤクザみたいだよ、坂井ちゃん。岩泉にはそういうのは及川に聞けと淡々といわれてしまった。すみません。

｢言われて思ったこと、ヒス構文でおしえて｣
｢俺にすれば？って言って、わたしが国見くんのこと好きになっちゃえばいいんだ。国見くんしか見られなくなっちゃって、視野が狭くなった末に電柱にぶつかっちゃえばいいんだ。電柱でぶつけてできたおでこのたんこぶが大きすぎて、ネットでバズればいいんだ。ネットでバズってから、たんこぶおばさんって呼ばれ続ければいいんだ？｣

坂井ちゃんはげらげらわらってひーひー、なんて息をしていた。ヒス構文は彼女の流行りらしい。岩泉には哀れに思ったらしく、及川のだけどって勝手に袋を開けて牛乳パンを半分くれた。及川はまた女子に告られてるらしい。クラス違うのに、幼馴染さんも大変だね。