逢着 ページ12
．
｢Aさ｣
｢国見英またあとでね！！！｣
✤
｢あっAさん｣
｢国見英！ごめーーーん！｣
✤
｢おいAさん｣
｢ごめん！！！！｣
✤
｢なんでアンタそんなにげっそりしてんの｣
｢国見英から逃げてるから｣
好き避けってやつ？と坂井ちゃんが笑う。顔を合わせると、さらに好きになってしまいそうだから。わたしは早く彼への思いを消さなくてはいけない。叶わない恋をしてたってつらいだけだ。
そう、結局わたしは自分がかわいい。国見くんに優しくしてもらっている身で申し訳ないが、彼のようなハイスペックはわたしじゃなくてかわいい女の子に優しくするべきなのだ。
そう、例えば、昨日彼を呼び出した、あのことか。
｢つきあったのかなあ、国見英とあのこ｣
｢えーあんたのこと好きそうだけど、国見｣
｢でもあの子かわいかったよ｣
｢あの1年に失礼だけどあんたの方が可愛いよ｣
｢ありがとう｣
｢マジで！信じてないでしょその顔！！｣
坂井ちゃんはやさしい。やさしくて涙がでそうだったので、必死に堪えた。
好きになったのと同時に確定した失恋。いままでは相手に問題があること(既婚者だとか浮気性だとか)が多かったけど、国見くんみたいな優しい人でもこういう"ただしい恋愛ルート"から外れてしまうのは、かなしい。
｢まじで、かわいいよあんた｣
｢ええ？ありがとう｣
｢系統は違うけど顔整い度でいえば烏野の三年マネージャーと同等｣
｢潔子ちゃんだよね？ぜったい褒めすぎだよそれ｣
｢ほんとにびびるくらいかわいいよあんた｣
潔子ちゃんは男バレの試合を覗いたときに見たことがある。ほんとうに綺麗な女の人だ。
坂井ちゃんは岩泉をとっつかまえて｢あんたもAのことかわいいと思うよね？｣と聞いていた。可哀想だからやめてあげて。
｢顔整ってんな、とは思うけど｣
｢かわいいっていいなさいよ｣
｢い、いえないだろ。そんな、女子なんだぞ･･｣
｢思春期かよ｣
岩泉まで。この状況で可愛くないって言えるわけないよね、ごめんね。
坂井ちゃんありがとう、あなたからの｢かわいい｣でわたしはじゅうぶん満たされています。
｢ごめんトイレいってくる｣
｢えー大丈夫？いってらしゃい｣
岩泉解放を目指すためには一旦わたしが席を外したほうがいいだろう。及川が中庭で告られているのを窓から眺めて、トイレまでの廊下を歩く。本当にモテるんだな、あの人。
｢ねえAちゃん｣
小さく振り返る。この声を知っているからだ。
この上擦った声は。
伊藤くん。
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赤羽 - こういう終わり方好きですっっっ！神作品です！ (4月4日 7時) (
レス) @page17 id: b22b7ccd76 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：そあ | 作成日時：2022年12月27日 15時
