炭治郎の姉上は心臓の病を持っています“弐”

幸せものだなぁ ページ22

一晩中全力で型を使った


今まで練習した事の全てを使い果たした


そして今倒れそうになる体を必死に踏ん張り堪えている


廻りからは拍手が聞こえてくる

私は皆の顔の方を見ることもできずに下を向いていた


私の異変に気づいたのか炭治郎と禰豆子が駆け寄ってくる足音が聞こえる


スッと足の力が抜けた


冷たい地面に倒れたんだ


痛いと思った


でも私は冷たい地面に倒れることなく


とても暖かい人の温もりに包み込まれた


炭治郎の腕の中だった



落ち着く。


ｽｰｯと私の頬に生暖かいものがつたった


　 涙だ


私のものではない


炭治郎と禰豆子かな？


あぁきっとしのぶも泣いてる


泣かないで欲しいな

心の底から笑って欲しい


それが私の願い




私は炭治郎と禰豆子の頬に手を当てた




『泣いちゃ…駄目、だよ。笑っ…て？心の…底から…笑って』


炭治郎と禰豆子、しのぶの顔は涙てぐちゃぐちゃで

善逸は泣き叫んでしまっている


「姉さん…！姉さんまで俺たちを置いていくんですか！？置いていかないで…お願いだから」

「ムーッ(嫌だ！！)」


二人とも大丈夫。ずっと見守ってるから



「姉さん…！嫌だ！いっそのこと私が死ぬから！」

駄目よ。しのぶ、自分の命は大事にしなきゃ


「ゆうな？死んじゃうの？」

無一郎…私、死んじゃうみたい
泣かないで


「おいゆうな太郎！！逝っちまうのか？」

伊之助はそのままでいてね


「ゆうなちゃぁぁぁあああんん！」

善逸。そんなに叫んだら喉枯らすよ？



廻りの人は皆泣いていて


煉獄さんと音柱さんは優しく微笑んでいるけれどうっすら目に涙をためていて

お館様は優しく微笑んでいる



皆と居られて本当に幸せだった

こんなに優しい家族、仲間が居て



『私は幸せものだなぁ…』



本当に

最期に皆



『強く、強く…生きて…ね』









また一つ鈴の音が響いた

エピローグ→←皆

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す