Who You Love -2 ページ2
夏が近づく頃、新メニューを加えようとジョンジンと試作品を持ち寄る。
「いいじゃんこれ!さっぱりして美味い!」
「でしょ?私これ自信作」
ピンクグレープフルーツの果実たっぷりの紅茶。比較的、甘い飲み物が多いメニューにさっぱり系の飲み物を増やしたいと思っていた。
「じゃあ、母さん達からの意見も聞いて調整してこ」
売値はこのくらいか、他にどんなメニューを増やそうか、新しい事を考える時はいつでもワクワクして楽しい。
「よ〜」
久しぶりに会ったイェソンさんは、相変わらずのファッションセンスで芸能人オーラが半端じゃなかった。それと共に沸き立つカフェの中。レジにいつ立つだろうと、今か今かとファン達はこちらの様子を伺っている。
「ジョンジナ、携帯何度も鳴らしてんのに全然取らねーから来た」
「え?ごめん。全然気づかなかった」
キム家との関わりが長いにもかかわらず、正直イェソンさんと仲がいいと胸を張って言えないのは、"芸能人だから"と、どこか遠慮する気持ちがあって、話が上手く出来なかったからだった。
「ほらみろこれ!!カフェのスタッフTシャツだ!!」
鞄からババーンと効果音付きでTシャツを取り出し、私達の前に掲げる。
「おぉ!いい!イメージ通りの仕上がりだね」
「サンプルなんだけどな。はい、A。これ着て」
久しぶりに呼ばれる名前に心臓がドキリと鳴る。
「は、はい」
やけに緊張して受け取る手が震えていないか心配になる。
早くこれに着替えろと急かされ、着替え出ると、ジョンジンが色違いを着て立っていた。
「うーーん...やっぱり白がいいな。エプロン黒でTシャツ白だな」
私達を見比べ、ごにょごにょと呟き改めジョンジンに白のTシャツを着せる。
「よし、ここに立って」
レジの中、エスプレッソマシーン等が並ぶ所に立たされると、携帯を構え始める。
「ちょ!ちょっと待って!何するんですか!?」
「え?ムービー撮ろうとしてる」
「撮ってどうするんですか?」
「載せようと思ってる」
「どこに」
「インスタ」
「いや!勘弁して下さい!私撮らないで下さい!」
何が嫌なんだ?とでも言いたげな顔でこっちを見るイェソンさんの携帯を手で覆う。
「ミニョン!こういうのはミニョンが適任なんで、ちょっと待って下さい!もうすぐ出勤しますから」
撮られまいと足早に裏に向かう。
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作者名:RaiN | 作成日時:2015年9月12日 22時