In Other Room (ページ22)

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Happy? Birthday To You -1 ページ22

「誕生日、おめでとう」
Aの前に花束を差し出すと、目を見開いて固まる。

「あ...ありがとう」
心底驚いた表情に満足する。サプライズ成功だ。

「ははっ！驚いたろ？ジュンソヒョンに聞いたんだ。ついこの前聞いたから、何も準備できなくてこれだけなんだけど...」
「いや...。そんな全然！ありがとう」
数日前に飲みに行った時に何気ない流れで誕生日がいつかを聞くと、今日だと言うから、焦った。

「...どうした？」
「どうしたって？」
最初は驚きで表情が硬いのかと思いきや、どこかそれだけじゃない雰囲気を感じた。

「なんとなく？花、好きじゃなかったか？」
「そんな！花大好き。嬉しい」
すぐにいつもの柔らかい表情に戻り、花を見て微笑む。

「それだけか？」
「....誕生日って『この世に命を授かって、私達の元に来てくれてありがとう』って日でしょ？だから私、恵まれて生まれた身じゃないから祝われる資格ないって昔から頑固に誕生日のお祝いって避けて過ごしてきたの。
だからリアクションに慣れてなくて。さっきのじゃダメだったかな？」
少し考えた後にそう言って、気を遣わさないためか明るい声色で微笑む。
でも、何てことはない風に話された話は、小さい頃に傷ついた故の悲しい過去で。
今まで深く意味も考えずに俺達がずっと言い続けてきた「誕生日おめでとう」の残酷さを思い知った。

「そうだったのか...でも俺は、Aが生まれてきてくれたお陰でこうやって出会って、曲提供してもらって、俺の代表曲ともいえる曲が出来てさ。
Aの事を好きになって、大切な存在になって...こうやって一緒に居れて嬉しいから。だから、"誕生日おめでとう"だ」
「....ありがとう..ございます」
素直にいま感じている事を伝えると、照れた表情でAが俯く。

「なんだ～照れてんのか？」
「ちょっ！からかわないでよ」
怒った様子に見せたAは、足早に台所に向かうと花束を少し目を細め微笑みながら眺めると手際よく花瓶に生けた。
その嬉しそうな表情を見てホッとする。
拒んできた誕生日を、これからは受け入れてくれそうだ。

「なぁ、今から夜景見に行かないか？ほらホワイトデーに行った所だよ」
「今から？」
「そう。こういう日じゃないと、なかなか行かないだろ？ほら、行くぞ」
急な話に戸惑う彼女の腕を引き、強引に連れ出す。