In Other Room (ページ16)

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White day -2 ページ16

「迷惑かけて、すみませんでした。またヌナの曲歌えるの楽しみにしてます」
全て順調とはいかずとも、気持ちを切り替えた彼は肩を落とした姿ではなくもうちゃんと前を向いていた。

『お疲れ様。気にしなくていいから、仕事終わったらまた連絡ちょうだい』
携帯を開けばメールが届いていて、手元の時計を見ればもう22時。

急いで片づけをして家に帰ると、くつろいだ様子でドゥと一緒にソファでテレビを見ているジョンウンがいる。

「おかえり。よし、出るぞ」
「え？出掛けるの？」
「まぁ、いいから。」
コートを脱ぐ間もなく、腕を掴まれ駐車場へ引き戻される。
車内でかかるラジオで流れる曲を彼は口ずさみながら、車はどこかに向かって行く。

「着いた。行くぞ」
気が付けば、どこかの公園のような広場のような、辺りが暗くて良く分からない。
お互い黒っぽい服を着ているお陰で、夜の闇に綺麗に紛れて手を繋いでみたりして。

「おぉ！ほら、綺麗に見えるぞ」
彼が指した先には、ビルの光と家々や車の光がキラキラと綺麗な夜景が広がっていた。

「すごい...」
「こんなに綺麗に見えると思わなかったな。ほら、あそこ座れる」
いつの間に用意してくれていたひざ掛けをして、2人黙って夜景を見つめる。

「私..夜景ってこんなにちゃんと見たの初めてかもしれない。ありがとう」
「そっか。よかった」
それから少しの間、いつもとは違う特別な空間で他愛もない話をして、会えなかった間の時間を埋める。

「そろそろ帰ろうか」
来た道を五指を絡めて車まで戻る。

「はい、これ」
カフェに立ち寄ってコーヒーをテイクアウトすると、車にコーヒーの良い香りが充満する。手のひらサイズの箱を手渡されると、上品なチョコが並んでいて、食べるのが勿体ない。

「美味し...コーヒーに合うね」
「俺にも味見させて」
1粒取り出して口元に持っていくと、そのまま手首を掴まれ引き寄せられると味わうように唇を食むキスは深くなる。

「うん。美味い」
街頭に照らされた彼の顔が妖艶に微笑み、甘いキスで身体の熱が上がったのを感じる。

「....家に着いたら他のも食べさせて」
走り出した車は、スピードを上げて家まで走り抜ける。