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裕翔side



「その生徒にね、『贔屓じゃん』って言われたんだ。」


「『贔屓』ですか……。」


「うん。それが1回目。」



櫻井先生は、涼介の扱いかたにものすごく悩んでいた。


『特別扱いはしない』とは言ったものの、どうしても涼介のことが気になってしまっていたらしい。



「1回目ということは……」

「まあ、何回か言われたね。」



涼介も、

「櫻井先生の嘘つき。ずっと俺の方を見てソワソワしてた。」

なんて言ってたっけ。




「でも、最終的にみんな理解してくれたと思う。」

「どうしてですか?」



「『差別とか贔屓なんかはしていないつもりだ。ただ、区別しているだけ。』

『俺も、頑張って視野を広げられるようにするから理解してくれ。』

って言ったからかな?」


櫻井先生は、その時を思い出すかのように目を細めた。

薮先生はというと……真剣な表情をして考え込んでいる。




向き合うことを大切にして、進級する頃にはどの生徒にも信頼される担任になった。

もちろん、涼介や侑李くんも櫻井先生は信頼していると思う。




正直、これから先が不安だ。


2年生になってから、1度も学校に行けてないし。

『五月病』なんていってクラス内の雰囲気を決して良いとは言えないだろうし。


最悪のスタートになるのかな……?なんて1人、青ざめていた時だった。


薮先生が口を開いたのは。

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作者名:赤兎 | 作成日時:2019年10月13日 23時

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