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「A、私そろそろ帰るけど…」
「もう少し残ろうかな」
「夜道危ないんだから」
「わかってるよ、真白も可愛いんだから気を付けてね」
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上司たちを含む、同期たちも帰った。
もう、いくら私がフリーだからって仕事押し付けるとか有りえない。
好きなアイドルもいなけれペットもいない、趣味もいない私は
こうやって仕事を頼まれるのは日常茶飯事。
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可愛い真白を見えなくなるまで見送ってからもうひと頑張りする。
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あの後、速攻で頼まれた用紙を印刷してすぐに平野さんへ届けた。
営業部は印刷部から2階上。エレベーターの中ではドキドキしながらなんとか
海ちゃんと合わせる顔を作る。
別に見られるわけでもないのに、ちゃんと笑えているかなって気にしちゃう。
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もう彼は別の人に夢中になっているのに
私は彼を意識しては彼の虜だ。
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仕事を終えて、デスクを片す。
海ちゃんから
中学の時にもらった、熊のキーホルダー。
お守りになるだろうと就職する時に持ってきた。
どこまでもゾッコンだな私…
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会社を出て、大きい自動ドアをくぐる。
就職して4年。一体何回このドアをくぐっただろうか。
ふぅ、と夜空を見上げると星1つない夜空。
どうやら今日は月もないみたいだ。
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「あ」
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肩にかけていた鞄をもう1度かけ直して歩き出すと、
会社の前のベンチに腰かけていた平野さん。
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目が合った気がしたけど気づかないフリをして歩き出すと
後ろから迫ってくる影。
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『なんで逃げる』
「あ！お！お疲れ様です平野さん」
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"偶然ですね" なんて余所余所しい私の態度に顔を曇らせる。
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『あんた、ほんと面白れぇな』
「は？」
『ちょっと付き合って』
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他人行儀の私になぜか、ふはっと笑って私の腕をつかむ。
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「ちょ、待ってよ。」
『この間、酔っ払いに付き合ったの誰だっけ？』
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ブラウングレージュの髪色が街灯に照らされ、彼にのぞき込まれる。
距離、ちかっ…と思った。
その瞬間に、その問いかけに、何も言い返す言葉が見つからず黙って睨んだ。
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『ふは、俺だし。なんも言い返せないもんな？』
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そんな私を見てくしゃっと笑う彼に見惚れないように。
腕を引かれるがままに彼についていった。
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もも(プロフ) - 私の端末がおかしいのかわかりませんが、４ページ目の紫耀の漢字が紫輝になってます (2021年6月19日 23時) (
レス) id: 573355469d (このIDを非表示/違反報告)
：む ぎ 。(プロフ) - 涼杜兄妹さん» コメントありがとうございます。今後はきっと絵に描いたような生活を送るかと思います(^^) (2021年3月7日 13時) (レス) id: 860fb48182 (このIDを非表示/違反報告)
涼杜兄妹(プロフ) - 完結おつかれさまです！好きな作品だったので終わってしまうのがさみしいです。2人がどんな生活をしていくのかが楽しみです♪ (2021年2月28日 20時) (レス) id: a89c13a921 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：Shiro.
| 作成日時：2021年1月18日 22時
