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「私、まだ二次会とか行かなきゃなんだけど」
『いいから』
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こんなに堂々と誘われることは初めてだから新手のナンパかと思う。
戸惑っている私を他所に壁にもたれた彼は私を見つめる。
お酒が回っているからか目に熱がこもっているようだった。
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今までの意地悪の仕返しで今なら彼に冷たくあしらって
会社の呑み会で飲み過ぎて酔っ払った事を鼻で笑って素通りすることだって出来るのに。
やるなら今だぞ私、と心の中で脳内に訴えるけど、
私の脳みそは完全にシャットダウンされていた。
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『にもつ、とってきて』
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"かえるぞ" と呂律の回っていない言葉。
それに対して、はい分かりましたなんてのこのこ彼の荷物を持ってくるほど
そこら辺の女とは私は違う。
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「あのねぇ…」
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私にも付き合いとかいろいろあるのよ、と言おうとしたその時
スマホ独特の着信音が鳴り響く。
初期設定から変えてない人は同じ音だから鳴り響いただけで数人が反応するその音。
同様に私も自分のスマホを確認するけれど、
お気に入りの画像と共に時間を教えてくれる画面。
鳴り響くスマホの持ち主は紛れもなく目の前の彼だ。
当の本人は気づいていないのか、もたれかかっては私を見て逸らさない。
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「スマホ、鳴ってるよ？」
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声をかけても "できない" の一点張りで、
なかなか面倒、肩の荷が重くなった。
鳴りっぱなしも迷惑なので彼の胸ポケットに入っているスマホを確認すると
"海人" の文字。
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平野さんに確認をとる間もなく、その名前を見た瞬間反射的にスマホを耳に当てた。
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「海ちゃん？！」
「あれぇ？俺間違えた？」
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海ちゃんもほろ酔いなのか、いつもより甲高い声でけらけらとしていた。
周りはガヤガヤとそれに答えてる海ちゃんの声も時々聞こえた。
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「いや、目の前に平野さんいる」
「だよね、紫耀は？」
「酔っ払って…」
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海ちゃん助けてと助けを求めようとする
私を見計らったのか「送ってやって！」と衝撃的な返答に耳を疑う。
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「え？今なんて？」
「だーかーら！送ってやってよ」
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聞き返しても、帰ってくる言葉は同じで
悪魔のような平野さんと一緒にいた海ちゃんも変わってしまったのかと心なしかショックを受けた。
いや、海ちゃんは優しいってイメージを勝手につけていただけで
本当はこういう性格なのかもしれない。
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もも(プロフ) - 私の端末がおかしいのかわかりませんが、４ページ目の紫耀の漢字が紫輝になってます (2021年6月19日 23時) (
レス) id: 573355469d (このIDを非表示/違反報告)
：む ぎ 。(プロフ) - 涼杜兄妹さん» コメントありがとうございます。今後はきっと絵に描いたような生活を送るかと思います(^^) (2021年3月7日 13時) (レス) id: 860fb48182 (このIDを非表示/違反報告)
涼杜兄妹(プロフ) - 完結おつかれさまです！好きな作品だったので終わってしまうのがさみしいです。2人がどんな生活をしていくのかが楽しみです♪ (2021年2月28日 20時) (レス) id: a89c13a921 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：Shiro.
| 作成日時：2021年1月18日 22時
