33 ページ33
.
.
.
「ううん、そんな事全然良いんだよ」
.
コトンと音を立ててグラスを置いた。
それと同時にグラス内でバランスが崩れた氷。
ああ、そういえば居酒屋って氷で増してて本当は半分くらいしか入っていないって聞いた事がある。
.
「あのね、私もAに言わなきゃいけないことがあって。」
.
やっぱり違和感は当たっていた。
きっとなにかあるんだろうなって思っていた。まさに予想的中。
勘が当たるのは無縁だと思っていたけど、最近は的中してしまうから、
案外勘が当たるのって凄いなって思っていたけどいざ自分がその立場になるとそうでもない。
ないものねだり。
.
.
「私、平野さんに気持ち伝えて、で、今海人と付き合ってる」
.
.
…ダブルパンチ。
ボクシングだったらあっという間にカウントされてノックアウトよ。
カンカンと鈴が鳴り響いてしまうよ。
シードじゃなくて１からコツコツと戦ってきたのに呆気なく負けてしまうこの感じ。
いい具合に進んで一気に奈落の底へ落された気分だ。
.
「あ、平野さんに伝えたのはだいぶ前の話ね？」
「で、海人と付き合ったのは最近の話」
.
.
「ちょ、詳しく」
.
彼女を前に怒ることも悲しむこともできず、私は今どんな反応をすればいいのか。
どんな表情で彼女を見たらいい？
周りがうるさいほど、ガヤガヤしているのにまるで彼女とサシ吞みしに来たようだった。
.
.
「平野さんに気持ち伝えたのは、4人で映画館に行ったとき」
「Aは確かトイレだったか言っててその時に私海人の前で告白したの」
.
平野さんが言っていた言葉を思い出す。
告白を受けた本人から聞いた話とは違って彼女の心情が見えるから新鮮だった。
平野さんが困っていた様子なんて彼女は気づかず、
ただ返事が期待を沿える言葉だったから落ち込んだらしい。
きっと海ちゃんも困っていたのだろうか、平野さんと同じ気持ちになっていたのだろうか。
そして私は今目の前で話す彼女のように同じことを思っていたのだろうか。
.
.
「平野さん、好きな人がいるって言ってて」
.
それは初耳だった。
.
「冗談交じりでA？って聞いたら何も言い返されなくて」
.
悲しく微笑んだ彼女、だから私に伝えるのに時間がかかったんだと理解した。
.
.
.
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 864人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「平野紫耀」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
もも(プロフ) - 私の端末がおかしいのかわかりませんが、４ページ目の紫耀の漢字が紫輝になってます (2021年6月19日 23時) (
レス) id: 573355469d (このIDを非表示/違反報告)
：む ぎ 。(プロフ) - 涼杜兄妹さん» コメントありがとうございます。今後はきっと絵に描いたような生活を送るかと思います(^^) (2021年3月7日 13時) (レス) id: 860fb48182 (このIDを非表示/違反報告)
涼杜兄妹(プロフ) - 完結おつかれさまです！好きな作品だったので終わってしまうのがさみしいです。2人がどんな生活をしていくのかが楽しみです♪ (2021年2月28日 20時) (レス) id: a89c13a921 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：Shiro.
| 作成日時：2021年1月18日 22時
