15 ページ15
.
.
.
結局脱毛サロンにしか行けなかった。
金曜日ギリギリで何とか電話をかけて担当の人に空けてもらった。
少しムスッとしていたけどデートの事情を説明したらケロっとしていた。
まるで機嫌が良くなった子供のように無邪気に笑っていた。
サービスで少しマッサージもしてくれたからおけげでお肌もツヤツヤ。
"本家には勝てないけど" なんて言っていたけど、
プロもお手上げってくらい本格的だった。
.
.
「も〜なんでお前等いるんだよ〜」
「いいじゃないですか！大勢の方が楽しいし」
「んーまぁそうなんだけどー」
.
その一方で不機嫌と顔に書いてある海ちゃん。
ぶーぶー口をとんがらせながらも、なんだかんだで迎えに来てくれた。
もちろん助手席は真白で、海ちゃんの後ろに私、真白の後ろに平野さん。
海ちゃんの車のホワイトムスクの香りにそれぞれの香水。
社会人4年目の私たちがこうやってぞろぞろと映画館に行くなんてなんだかおもしろい。
そしてほぼ毎日顔を合わせている私たち。同級生とダブルデートする学生のよう。
.
.
「紫耀が見てないアニメだよ」
「らしいな」
.
話しかけては返事1つで終わる会話に言葉が詰まる。
一度、鼻を曲げた海ちゃんはなかなか手強い。
きっと平野さんもそれを知っているから海ちゃんの当たりに淡々と返す。
.
「海人くん運転疲れたら無理しなくていいからね」
.
唐突の海人くん呼びに瞬時に顔が反応する。
そんな私を横目で見ながらフッと笑う平野さん。それを見ては睨む私。
.
「全然疲れない！真白ちゃんが隣にいたらどこにでも行っちゃう！」
.
"って何言ってんだ俺" なんてさっきの機嫌なんて嘘のように笑った。
…真白ちゃん呼び。
下の名前で呼び合う関係はただの職場関係では呼び合わない。
私の知らない間に2人の関係が進んでいっている現実を実感した。
.
『先手取られたな』
.
2人の会話が弾んでいる後ろで隣の彼が言った。
声の方を見ると目にかかったブラウングレージュの髪を靡かせながら頬をクイッと上げた。
可哀想に、と同情しているように見えた。だけど私の曇った感情を晴らすように、おどけてるようにも見えた。
.
「もうお手上げ」
.
2人に見えないように小さく両手を上げた。
だって海ちゃんに見られたら困るでしょって海ちゃんはそれを見たところできっと何も思わない。
.
.
.
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 864人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「平野紫耀」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
もも(プロフ) - 私の端末がおかしいのかわかりませんが、４ページ目の紫耀の漢字が紫輝になってます (2021年6月19日 23時) (
レス) id: 573355469d (このIDを非表示/違反報告)
：む ぎ 。(プロフ) - 涼杜兄妹さん» コメントありがとうございます。今後はきっと絵に描いたような生活を送るかと思います(^^) (2021年3月7日 13時) (レス) id: 860fb48182 (このIDを非表示/違反報告)
涼杜兄妹(プロフ) - 完結おつかれさまです！好きな作品だったので終わってしまうのがさみしいです。2人がどんな生活をしていくのかが楽しみです♪ (2021年2月28日 20時) (レス) id: a89c13a921 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：Shiro.
| 作成日時：2021年1月18日 22時
