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黒髪のサラサラで。
ふんわり鼻を擽る、洋ナシの香り。
今まで関わる事の無いを思っていた。
そんな事とは無縁だと思っていた彼と、
こうやって関わる事になってしまったのは
きっと何か意味があるのだろうか。
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「A!大丈夫?立てる?」
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きっと真美ちゃんも衝撃だったんだろう。
私の横でそのやり取りを呆然と立ち尽くして
そのあと私の元へとやってきた。
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「び、ビックリした〜」
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私の目の前には真美ちゃんがいる。うん、大丈夫。
ホッとして心の声が駄々洩れになる。
今日は抜き打ちの小テストに水がかかったり居残りだったり。
なんて日なんだ。
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「だいじょーぶ?」
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そしてもう1人、明るめの茶色の彼。那須くん。
サラサラストレートで、その間から見える大きく垂れた目に
顔を覗き込まれて後ざすりする。
言い忘れてたけど那須くんとは委員会が一緒だ。
一緒って言っても、校庭のお花に水をあげる緑化委員。
1、2回程度話したことあるくらいだから、浮所くんよりは話しやすい。
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「はい」
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那須くんは本当に頭いいの?って言いたくなるくらい自然体で
みんなからイジられていて人気者だ。
浮所くんよりは人情があるイメージ。イメージだけど。
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「そ!」
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2言返事でサラッと会話を終え、
浮所くんの後を歩く那須くん。
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「あ、ブレザー…」
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気づいた時にはオーバーサイズのブレザーが肩にかかっていて。
返し損ねたとブレザーを脱ごうとするけれど
体操着が濡れていることを思い出して脱ぐのをやめた。
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「真美ちゃん、これ、どうしよう…」
「どうって、返すしかないでしょ」
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真美ちゃんに頼っても”返すしかない”と当たり前のことを言う。
自分でも分かっているけど、返すしか方法は無いのは分かっているけど
今起きてる出来事が今までと違い過ぎて受け入れたくないと思っている。
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「とりあえず、A濡れてるし借りてたら?」
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そう言われて、校舎を後にした。
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Shiro.(プロフ) - 梨乃さん» 感想ありがとうございます!励みになります、うれしいです!!! (4月10日 11時) (レス) id: 5a97038d8f (このIDを非表示/違反報告)
梨乃(プロフ) - ものすごくキュンキュンしました!続きが楽しみです^_^ (4月8日 8時) (レス) @page36 id: 5cceb5056f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:Shiro. | 作成日時:2024年2月26日 22時