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『嫌だった?』
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とりあえず落ち着こう、と駅の近くの公園のベンチに座った。
地に足がついているはずなのにふわふわしていて変な感じ。
嬉しくて涙が出ているのに私が何も言わないからか
彼はそんなことを聞いてきた。
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「ううん、嬉しくて…」
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”だってまさか浮所くんが私の事を、す、好きだなんて…”
”なんだか私の中で浮所くんは特別で大切で。”
”そこら辺に転がっている恋愛とは違くて”
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必死にぐちゃぐちゃだけど、私なりの言葉で。
私の言葉で。浮所くんに伝える。
思っている事の80%は伝わらないっていうから
今の言葉を私の気持ちは、彼に伝わっているだろうか。
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『ふふ、俺の事見ると胸が苦し?』
「うん」
『俺に会えたら嬉しいって思う?』
「思う!」
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伝えたい言葉の正体は、
きっとベタでありふれたものだろう。
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『それってなんていうか知ってる?』
「なんていうの?」
『恋って言うんだよ』
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”暁は俺に恋してるってこと”
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そういって悪戯に笑った彼。
浮所くんを見つめていると、溢れてしまいそうで。
ああ、でももうそれも我慢しなくていいんだっけ。
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「私、浮所くんが好きです!だいっすきです!」
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立ち上がって言うと、私に応えるように
彼も立ち上がりぎゅっと抱きしめられる。
私の頭の上に顔を置いて、
改めて身長差を実感した。
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『じゃあ、俺ら両想い?』
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ぎゅっと抱きしめながら耳元でそう囁いた。
くすぐったくて恥ずかしくてドキドキした。
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「そう……なるね」
『やったー!やっとだー!』
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抱きしめながらゆらゆら揺れて
喜びを表現する浮所くん。
くしゃっと笑う彼の笑顔。
元気いっぱいで太陽みたいで明るい。
彼の上が笑顔がこの先も続きますように。
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「あ!そういえば話したい事ってなにー?」
『んー?告白しようと思ってたの』
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”なんか照れるね!恥ずかし!”と
口に手を置いて恥ずかしがる。
好きって気持ちが分かった途端、
なんとなくだけど少し甘えたさんに見えた。
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そ、そういえば、彼と付き合うことによって
彼に好意がある人達とはどう関わっていったらいいのだろう。
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『あーまってまって。俺が好きって言ってんだからよくない?』
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何かを察したのか、それ以上は考えないと言うように彼の言葉が私にかかる。
ああ、まあいっかと思える少し強引なところも、好き。
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Shiro.(プロフ) - 梨乃さん» 感想ありがとうございます!励みになります、うれしいです!!! (4月10日 11時) (レス) id: 5a97038d8f (このIDを非表示/違反報告)
梨乃(プロフ) - ものすごくキュンキュンしました!続きが楽しみです^_^ (4月8日 8時) (レス) @page36 id: 5cceb5056f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:Shiro. | 作成日時:2024年2月26日 22時