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高校2年生の体育祭を終え片付けの作業に入った。
先輩達は最後の体育祭を最後まで楽しみたい一心で
いろんな人と写真を撮ったり動画を撮ったりしていた。
1年生は使っていた椅子の片づけで
私たち2年生は本部の片づけを担当していた。
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「妬いた…か」
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借物競争が終わった後、浮所くんに言われた言葉。
当の本人は先輩達に囲まれているけれど
言って終わりなんてズルい。
浮所くんみたいに頭良くないから
どういうことか説明してくれないと分からない。
…なんて素直に言える訳もなく。
優実ちゃんには好きをやめない、なんて
大口叩いてたけど実際女の子達に囲まれてる彼を見て
それに参加しようって気持ちになれなくて。
ずっと日陰から1歩踏み出せない。
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「あっかつきちゃーん」
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作業をしている中、どこからか私を呼ぶ声が聞こえた。
私のことを”暁ちゃん”なんて呼ぶ人はもう1人しかいなくて。
今話しかけられたら周りにどう思われるか…と瞬時に察知して
静かに身を潜めると
「何?かくれんぼ?」
真後ろから声がして、半笑いしながら那須くんがそこにいた。
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「な、んですか」
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作業を続けながら那須くんの方へ耳を傾けると
那須くんも私の作業を手伝い始めた。
今日は編み込みをしているから、
那須くんの綺麗な横顔が見えてなんだか変な感じ。
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「いや暁ちゃん、打ち上げ行くかなって思って」
「うちあげ?」
「そ。今年はみんなでやるらしいよ」
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こうやって会話しながらも、
私が畳んだ折り畳み式のパイプ椅子を
さりげなく持ってくれる。
そういう所がきっとモテるんだろうなと思った。
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「あー…わたしは、、、」
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基本こういう付き合いは大事だと思っているから
誘われたら行くようにしている。
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「那須くんって、いつも私によくしてくれるよね」
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那須くんの横顔をみていたら。
気付いたらそんなことを言っていた。
緑化委員だった時から、那須くんは
私に普通に話しかけるし偏見なさそうな態度で接してくれる。
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「まあ俺優しいからな〜」
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照れたように笑った那須くん、そのあとにもう一度
”行くの?”と聞かれて、”真美ちゃんが行くなら行く”と伝えた。
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『暁』
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パイプ椅子を片付けようと本部を離れたとき
前方からやって来た浮所くんと鉢合わせた。
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『今日、打ち上げ終わったら話したいことがある』
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Shiro.(プロフ) - 梨乃さん» 感想ありがとうございます!励みになります、うれしいです!!! (4月10日 11時) (レス) id: 5a97038d8f (このIDを非表示/違反報告)
梨乃(プロフ) - ものすごくキュンキュンしました!続きが楽しみです^_^ (4月8日 8時) (レス) @page36 id: 5cceb5056f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:Shiro. | 作成日時:2024年2月26日 22時