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心臓の音が鳴りやまない。
その瞬間を見たときシンと音が聞こえなくなって。
私の心臓の音だけがドクドク波打ってる。
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「え、那須くんじゃん…」
「おおー！久々じゃん！」
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少し嫌そうな真美ちゃんと飛び跳ねて喜ぶなあくん。
それに応えるようにこちらに向かってくる。
と、同時に1歩ずつ後ざすりする私。
そんな行動に気づいたのか、真美ちゃんは私に
”大丈夫？”と声をかけてくれた。
怖い…というより今は、彼に合わせる顔が無くて。
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「真美ちゃん、ごめん」
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そう言って彼らとは逆方向に歩いた。
まさか、私を呼び留める声なんて、そんなの聞こえなくて。
人込みにすぐ馴染めた私は歩き続けた。
追いかけられてないのに、何かに逃げるように。
そしてふぅっと息を吸い込んだ。
煙の臭い、ソースの臭い。香ばしい匂いに甘い匂い。
夜なのにライトのせいで夕方みたいで。明るくて。
ああ、それでも視界がぼんやりしてしまう。
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気が済むまで歩いて。屋台の抜けた道で立ち止まる。
1つ向こうの道では賑やかさで溢れているのに。
そこに戻ろうなんて思う事は無くて。
もしかしたらずっと私は影の人間だったのかもしれない。
真美ちゃん優実ちゃんみたいな子達は光の中の人間で、
私は影の人間。
……はあ。また出てしまった。私のへこたれ。
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「見たことない顔……だったな」
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元はと言えば学校イチのイケメンと呼ばれる彼と
関わる事なんて無くてずっとそれが続いていたら
今だって見かけたとしても声なんて
かけられる事は無かったはず。
たまたまお母さん同士が通ってるお料理教室で仲が良かったから
私の頭が壊滅的に悪かったから家庭教師なんてやってもらっただけで。
浮所くんにとっては、親が仲いいから関わってくれるだけで。
私はきっと初めて部屋に連れてきた時に
他の女の子と対等に接してくれたことが嬉しかったんだ。それだけなんだ。
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「ふふっ、」
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もはやここまで来ると笑っちゃう。
加速する私の気持ちとは裏腹に彼の気持ちはずっと一点どまり。
そしてこの間のストーカーのことだってっ…………
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夜、人通りの少ない道、すぐ近くで賑わう人通り。
あの時の感覚が思い出しては蘇った。
急に震えだして、私が動いたら誰かが迫ってくるんじゃないかって
そう思ったら動けなくなって。
自分が思ってる以上にトラウマになっていることを実感した。
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Shiro.(プロフ) - 梨乃さん» 感想ありがとうございます！励みになります、うれしいです！！！ (4月10日 11時) (
レス) id: 5a97038d8f (このIDを非表示/違反報告)
梨乃(プロフ) - ものすごくキュンキュンしました！続きが楽しみです^_^ (4月8日 8時) (レス) @page36 id: 5cceb5056f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：Shiro.
| 作成日時：2024年2月26日 22時
