26 hidaka Side ページ26
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彼女を好きだと思えば思うほど。
もっと彼女を知りたい、
知ってほしいと思う気持ちが増えていって。
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そう思ってしまえば、自分の日常も変わって。
もはや、身体の一部に…いや中心になっていて。
いつのまにか育ってしまう。
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(ちょっと飛貴くん!)
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引き留める声を差し置いて、彼女の元へ向かう。
大森優実、最近やたらと絡んでくる女。
今日も”パンケーキが食べたい”と言われたので一緒に過ごす。
だけど、今日はたまたま彼女の最寄り駅付近だったため不幸中の幸い。
そしてある程度、奴がどんな人なのか目星は付いていた。
いつも家に向かう道中、家の近くの公園でウロウロしている男。
最初は勘違いなのかと思っていたけど、流石に毎回だったから怪しんだ。
そう思ってほぼ無理矢理だったけど連絡先を交換した。
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案の定ロックすらかけない彼女のスマホに
きっと気づいていないんだと察した。
せめて俺が隣で歩いている姿を見せつければ
諦めてくれたのかもしれないと思うと、
それを行動に移さなかった自分が情けない。
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そして電話越しの、震えた声。
心の底からの”助けて”の声。
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今すぐにでも駆けつけて抱きしめてそれから……っ、、
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『おい』
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走って走って走って。
そこから動くな、と指示した近くの公園で。
やっぱりいつも見かけていた男の姿。
駆けつけて声をかけると驚いた表情をしていた。
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(んだよ、お前)
『お前の行動、彼女を嫌な気にさせるだけですよ』
(は?俺はあの子が危険な目に合わない様に見守ってっ…)
『あー。それだったらいつも俺がしてるんで大丈夫です』
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”これ以上の事すると、警察呼びますよ?”
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本当はいますぐにでも、殴りかかったりなんかしてみたい所だけど。
今はそれ以上に本屋さんにいる彼女の事が心配で仕方なくて。
とりえあえず、ココを冷静に終わらせる方がいいと考えた。
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その言葉を聞いて怖くなったのか
悔しそうな表情をして、その場を立ち去って行った男。
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曲がり角を曲がるまで最後までしっかり立ち去ったか確認して
急ぎ足で本屋さんへ入る。
本棚が並ぶ、小さくて狭い店内。1番奥の角。
背中を丸めてしゃがみ込んでいる彼女を見つけた。
それはそれは小さくて。どこか震えてるように見えて。
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『暁…』
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俺は名前を呼ぶんだ。
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Shiro.(プロフ) - 梨乃さん» 感想ありがとうございます!励みになります、うれしいです!!! (4月10日 11時) (レス) id: 5a97038d8f (このIDを非表示/違反報告)
梨乃(プロフ) - ものすごくキュンキュンしました!続きが楽しみです^_^ (4月8日 8時) (レス) @page36 id: 5cceb5056f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:Shiro. | 作成日時:2024年2月26日 22時