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「今日の数学、小テストするみたいだよ」
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”ほんと抜き打ち好きだよね〜”と
教えてくれた真美ちゃん。
一体全体どこで情報収集をしているのか。
真美ちゃんは情報通だしゴシップも好きだ。
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「伊達眼鏡のくせにね」
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いつもの私ならこの世の終わりかのような
反応をするのだろうけど、今回は違う。
浮所くんとの成果、いざ発揮!!
あの伊達眼鏡先生をぎゃふん、と言わせたい。
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「お、さては浮所大先生のおかげか〜?」
「まあね〜」
「きっと大丈夫だよ」
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そして真美ちゃんの言葉はどこまでも優しくて
芯があって思いやりを感じて勇気づけられる。
前にフラれた時もこうやって慰めてくれたっけ。
浮所くんのためにも、良い点数取らなきゃ。
良い報告しなきゃ、
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「……あれ?」
「どうかした?」
「シャーペンが。」
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小テストの前に確認しておこうと
ペンケースを取り出すと、
いつも使っているシャーペンが見つからない。
結構お気に入りなのに。
ペンケースをゴソゴソ探しても見当たらず
間違えてペンケースから出たのか
鞄の中を漁っても出てこない。
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「「きゃーーー!!!!!」」
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教室内で響き渡る黄色い歓声。
いつも外で聞いている歓声だったから
あまりの大きさに肩がビクついた。
反動で声の上がる方へ顔を向けると
浮所くんと那須くんが教室に顔をのぞかせていた。
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「Aに用事じゃない?」
「わ、私は用事ない」
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にやにやしながら私を見てくる真美ちゃんの後ろに隠れて
どうか見つかりませんように、と思った。
どうして!?なんで?!
学校では話しかけられないはずなのに。
私に用事なんてないはずなのに!
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「あ、いたいた!」
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アタフタしているとバチっと目が合った那須くん。
私を見てそう言って、にっこり微笑んで手を振る。
いやいや、こんな状況で?!こんな場所で?!
よくもまあ爽やかな笑顔で私に手を振れますな……。
手を振る那須くんの脇をするりと通って
私の前までやってきた浮所くん。
勢いと周りの視線の圧とで、後ざすりする。
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『ん、』
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周りなんておかまいなしに変わらない顔で
差し出す彼の手には、探していたシャーペン。
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Shiro.(プロフ) - 梨乃さん» 感想ありがとうございます!励みになります、うれしいです!!! (4月10日 11時) (レス) id: 5a97038d8f (このIDを非表示/違反報告)
梨乃(プロフ) - ものすごくキュンキュンしました!続きが楽しみです^_^ (4月8日 8時) (レス) @page36 id: 5cceb5056f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:Shiro. | 作成日時:2024年2月26日 22時